混沌の時代に企業が大切にするべきことは?
第3部では、「ロイヤル顧客をつくるために必要なこと」というテーマに、西日本旅客鉄道(以下、JR西日本)の営業本部宣伝課長の小菅謙一氏、パナソニックエコソリューションズクリエイツ(以下、パナソニックES社) デザインコミュニケーションセンター長の本橋豊氏、大広アクティベーションセンター大阪CRMグループ長の土屋徹氏をパネラーに迎えたパネルディスカッションが行われた。
まず始めに、各企業がロイヤル顧客像をどのように思い描いているのかを紹介。
小菅氏は、「顧客のロイヤルティをはかる基準としては一般的には利用頻度になるが、定期利用者や出張などの多い顧客であっても、当社のサービスに共感し、愛着をもって利用いただいているかどうかが今後も大きな鍵となる」と話す。
一方で、パナソニックの本橋氏は、「住宅設備は頻繁に買ってもらえる商材ではなく20年、30年に1度の購入頻度が一般的。一度購入し、愛用していただいた顧客が良かったと自発的に伝えてもらえる方がロイヤル顧客であると認識している」とした。さらに、「80歳のあるユーザーが、50年前に結婚式の引き出物でもらった炊飯器が、まるで家族の一員のようにたくましく働いてくれているという手紙が届いた」というエピソードを紹介し、このように「商材の良さを何らかのかたちで伝えてくれるユーザーもロイヤル顧客と言えるだろう」とロイヤル顧客像を拡大する、新たな見解を述べた。
大広の土屋氏は、こうした企業からの考えを受けて、「使用頻度が高いからと言ってロイヤル顧客とは限らない。アクションロイヤルティ(行動)とマインドロイヤルティ(意識)の2つの軸の高い人が、最上位のロイヤル顧客といえる」と述べた。
さらにロイヤル顧客を高めるためのアドバイスとして、「ブランドの購入リピートを向上させるには、個人の価値観にマッチした顧客接点を意図的につくると良い方向へと導いてくれるケースが多い。またブランドへの憧れなどの相乗効果が働くと、期待を超える満足をつくり出すことができる。そして、顧客のブランドへの共感がより高まっていく」と見解を示唆した。
続いて、JR西日本と、パナソニックES社の取り組み事例を紹介。小菅氏はWebでの「JRおでかけネット」のサービス情報や「Club J-WEST」での会員向けサービスの内容などでの取り組みを例にとり、「多種多様な切り口で情報を発信することで、顧客の潜在的なニーズを発掘し、顧客反応を定期的に確認することが可能。Webサイトはそういった意味でも利用価値の高い手段だ」と話す。
また、本橋氏は「パナソニックの住まい・くらし方情報誌「すむすむ」では、10万人のメール会員のほか、650名のアンバサダーが存在しており、顧客の声をフィールドバックするしくみとしては効果が高い」ことをあげ、さらにWebでのチャット形式で、リフォーム相談会を行った経緯を説明。「実際にもっと利用頻度が上がれば確実に実績に結びつくことが分かった」と近況の報告をした。
大広の土屋氏は、セミナーを締めくくり、「情報のデジタル化によってCRMの裾野が広がり、既存顧客の情報を知るだけでなく、将来の見込み客もターゲットとしてアプローチできる時代になった。その双方を統合して管理し、顧客の動向としてのレスポンスを、常に見続けること。そうした中で、目的に合致したコミュニケーションを適切に行い、個別での設計をしっかりと組み立て、発信し続けることが着実なロイヤル顧客への育成に繋がるのではないか」と改めて会場に語りかけた。
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