大分に8億円の義援金と4億円の寄付金が集まる
成尾:熊本県は現在「県民の総幸福量の最大化」を基本理念にしています。これは企業理念のようなもので、これと別に「チームくまモンの行動規範」というものも決めているんです。
3つの「S」を掲げていて、ひとつ目が「SURPRISE」。これはくまモンを通して、例えば「Facebookで『いいね! 』と発信したくなるような情報を届けよう」「熊本に来てもらうだけではなくて、『来てよかった』という心のときめきを感じてもらおう」という意味が込められています。
二つ目が「STORY」。先ほどの「SURPRISE(驚き)」には、必ずストーリーが必要になるためです。
そして最後が「SHARE」。これは売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」の精神がベースになっていて、皆で利益や幸せを共有していこうというものです。
村上龍さんが以前、「他人の喜びに寄与することが自分の喜びにもつながるということが、ビジネス的にもサバイバルのコアになるのではないかと考えている」と話されていました。これは物を売るだけではなくて、その先にあるものに対する喜びが求められる時代になっているということだと思います。その精神は、私たちがくまモンとともに追い求めているものと一緒です。だからこそ、コラボレーションする価値がある存在になれると考えています。そして結果的に県民の総幸福量が増えていけば、住んでいる人も熊本にやってくる人も皆が熊本という場所を好きになれる、幸せになれるのではないかと思います。
高屋:確かに地震による被害は大変大きなものがありました。しかし、実際には大分にも8億円の義援金と4億円の寄付金が集まり、夏休み期間も本当に多くの方に足を運んでいただいて力強いご支援をいただきました。
10月からは九州観光推進機構による九州観光復興キャンペーン「九州ふっこう割」の第2弾も始まりますが、第1弾は大変好評で、各所で売り切れとなったとのこと。今後、この「九州ふっこう割」や私たちが制作したシンフロ動画などを通して、一人でも多くの人に大分に興味を持ってもらえるよう頑張りたいと思います。
成尾:そうですね。2019年には熊本でラグビーのワールドカップや世界女子ハンドボール選手権大会が開催される予定です。このタイミングは海外から熊本が注目される絶好のチャンスだと思っています。今後も引き続き、くまモンも上手に活用しながら熊本のアピールをしていきたいと考えています。
大分県 企画振興部 広報広聴課 課長
高屋 博氏
大分市出身。1984年早稲田大学卒業後、大分県庁に入庁。1991年以降、通算9年間財政課に在籍し、主計員の立場で予算編成や行革プランを作成。総務部総務企画監、観光地域局集落応援室長などを経て2015年から現職。
熊本県 東京事務所次長
成尾雅貴氏
1982年早稲田大学卒業後、熊本県庁入庁。2010年4月から、くまもとブランド推進課に勤務。くまモンとともに「くまもとサプライズ」を展開し、蒲島郁夫知事が進める「県民の総幸福量の最大化」の一翼を担う。今年4月から現職。著書に『くまモンの秘密』(幻冬舎新書)がある。
11月1日発売の『広報会議』2016年12月号にて掲載中。本誌では、以下の内容についても聞いています。
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「広報会議」2016年12月号
[巻頭特集]なぜ地方創生に「広報力」が必要なのか?
観光・産業の活性化や居住・就労人口の確保などを目指し、「地域ブランド」の確立を課題とする自治体が増えています。行政と企業の枠組みを超え、協働による課題解決を目指すケースもあり、その中で広報・PRの力が必要とされる場面が増えてきました。今回の特集では2部構成で、「地方創生」に寄与し、地域ブランディングを実現するための動きをレポートします。
Part1 地域ブランディングと民間との協働を考える
●年に1度の「自治体の通信簿」発表に
2016年は石川県・金沢市が上昇
ブランド総合研究所 代表取締役社長 田中章雄
●特別座談会
茨城・群馬・佐賀が大激論!
「地域ブランド調査」に物申す
●広がるIT企業と自治体の協業
①ドローン活用
DJI JAPAN×岐阜県美濃加茂市
②官民連携プラットフォーム
Dropbox Japan、スペースマーケット 他×埼玉県秩父郡横瀬町
●TOPICS 企業版ふるさと納税がスタート
●「地域商社」の担い手が語る地方創生と広報の課題 WILLERグループ
●TOPICS 文化財をストーリーとして発信「日本遺産」
Part2 訪日観光とPR 「都市から地方へ」の動き
●REPORT
①物見遊山から「目的ありき」へ
訪日客向けサイト利用の変化
②「爆買い」から「体験」へ
中国人によるインバウンド需要の行方
●訪日客向けサイトリニューアルのポイント
西日本高速道路/福岡市「よかなび」
●熊本県×大分県
「 攻めの情報発信」で観光振興による災害からの復興へ