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どうして視聴率調査の方法が変わったのか?
Advertimes読者ならもう知っていると思いますが(知らないって人はかなりやばいよ)、10月から関東エリアのテレビ視聴率の調査方法が変わりました。そう、タイムシフト視聴も測定しはじめたのです。
「視聴率」という言葉は今まで通りのリアルタイム視聴の測定値で、それにタイムシフト視聴のデータを加えて重複を引いた値を「総合視聴率」と呼ぶことになりました。もう一点、600世帯だったサンプル数を900世帯に増やしたのもポイント。もちろん、ビデオリサーチさんがそう発表しています。
もう少し詳しいことが知りたい方は、FOD(フジテレビオンデマンド)のこのページを見てください。
→FOD「新・週刊フジテレビ批評 2016年10月8日放送・視聴率が変わる!?テレビはどうなる?」
「新・週刊フジテレビ批評」は土曜日の朝5時という、業界の人だとゴルフに行く日に早起きしてたまたま見てくれる時間の番組です。この10月8日の放送では私がコメンテイターとしてビデオリサーチ社の石松俊之氏に視聴率がどう変わるのかを聞いているのでした。
さて、どうして視聴率調査のやり方を変える必要があったのでしょう。
まず、タイムシフト視聴が馬鹿にできないくらい増えてしまった。リアルタイム視聴とタイムシフト視聴の対比が、2008年と2015年で比べると大きく変わったそうです。
すべての世帯で毎日の平均が38分。あまり録画をしないお年寄りも含めた平均ですから、録画をよく使う世帯だともっとある、ということです。でも皆さんの実感でも、平日のドラマを土日に録画再生でまとめて見るなんて当たり前ですよね。これくらい増えちゃうと測定対象にしないわけにはいきません。
もうひとつ、人口動態の変化も大きな要素です。昔と比べて、3人以上の世帯が減り、2人世帯、そして1人世帯がすごく増えたそうです。晩婚化の影響でしょうか、独身が増えた。そして一人暮らしのお年寄りも増えたのでしょう。そういう世帯だと、その1人が見ないと即、世帯視聴ゼロになる。
だから、これまでの600世帯の中身の人数が前よりずいぶん減ってしまったそうです。そこで、900世帯に増やした。
さてタイムシフト視聴率は、放送後7日間計測して集計したものが出てきます。リアルタイムの視聴率とタイムシフト視聴率を足すと、その番組の全体の視聴率が出てくることになります。ただし、同じ世帯でリアルタイムでもタイムシフトでも視聴することがある。その数値は“重複分“として引かねばならない。その計算をした結果の数値を、「総合視聴率」と呼ぶそうです。
リアルタイムで10%の番組が、タイムシフト視聴率が5%あって、重複が0.8%あったとすると、14.2%が「総合視聴率」となるわけです。
この総合視聴率は、放送から9日ほどで出てくるそうです。10月も終わったので、すでに中旬分くらいまでは出ているわけですね。
私もちろっと見せてもらいましたが、わりと想像と違っていました。思っていたより、タイムシフト視聴の数値が低いんです。これについては、まだ分析できるほどにはなっていないので、ここではあまり言わないようにしましょう。
もうひとつ、テレビとネットの融合周りでふれておきたい話題があります。そう、テレビの「ネット同時配信全面解禁」という報道についてです。こちらは明日公開のコラムでご紹介します。