米大統領選はついに決着し、「トランプ氏が勝利確実」と報じられた。接戦の展開となった、両者のプレゼンテーションを専門家らはどのように見たのか。
岡本 純子 氏(コミュニケーションストラテジスト/グローコム 代表取締役社長)
読売新聞社経済部記者、電通パブリックリレーションズのコンサルタントを経て起業。これまで数百人の社長、企業幹部のコミュニケーショントレーニングを手掛け、リーダーシップに必要な戦略的コミュニケーションのノウハウを蓄積。米ニューヨークにて、グローバルスタンダードのPR、パブリックスピーキングの最先端ノウハウを学び、昨年帰国。拠点を日本に移して活動中。
米国民が共有してきた「普遍的な真実」は消滅した
一言でいえば、「理」で攻めたクリントンが「情」のトランプに負けたということになる。
「怒り」と「恐怖」を掻き立て、人間の本能的防御メカニズムにスイッチを入れたトランプがロジックで攻めるクリントンに競り勝った。
マスメディアに耳を貸さず、自分たちの考えと似た情報だけを消費する、つまり半径5メートルの「エコシステム」の中で完結してしまう人々が増え、米国民が共有してきた普遍的な正義・真実というものが消滅しつつある。
価値観が激しくぶつかり合い、軋轢を生む中で、どのようなメッセージを発信していくのか、コミュニケーションのプロフェッショナルとしても難しいかじ取りを迫られる時代になっている。
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