企業とインフルエンサーのもっと「いい関係」
前置きが長くなりましたが、だから、ネット上のコミュニケーションでインフルエンサーとタッグを組めたらいいですよね、って話です。だって、生活者が「友だち」のように親近感を抱いているインフルエンサーが力になってくれたら、心強いじゃないですか。
もちろん、企業側からアプローチする前に、オーガニックにその企業の商品やサービスを面白がってくれていたり、好きだと思ってくれていたら最高ですが、きちんとタッグを組むには、ちゃんと「企画」にすることが大切ですよね。
インフルエンサーと「企画」? もうやっているよ! だって、YouTuberに自社商品をテーマにした動画をつくってもらってるもん!
そうですよね。そういうチャレンジをしている企業さんは増えていると思います。でも、それってインフルエンサーの影響力を最大活用できているって、言いきれるでしょうか。実はもっとインフルエンサーの持つ力を活かせるやり方があるんじゃないかと思います。いくつか、その可能性を感じたケースをご紹介しますね。「企画」に力を入れると、今以上にもっと「いい関係」が生まれることがあるんです。
1「ボンボンTV」
ボンボンTVとは…(YouTubeの説明文より抜粋)
「人気のYouTuberたちが『まずは見てみる、やってみる!』を合言葉に日々チャレンジ! そんな『やってみた動画』を毎日ボンボン発信するネット放送局です」とのこと。
このYouTubeチャンネルは、2015年6月に開設されてから、約1年で401,782のチャンネル登録者がいて、合計で303,468,684もの再生回数を叩き出している超人気チャンネルなんです。基本的に毎日必ず何かしらの動画がアップされています。定番は、講談社のコンテンツを使って、YouTuberが「やってみた動画」をアップするというもの。例えば、こちらは、週刊少年マガジンで連載中の大人気漫画「はじめの一歩」とのコラボ動画です。
普段は個別に活動しているYouTuberのみなさんですが、複数のYouTuberがコラボする動画は常に人気があります。そりゃそうです、それぞれのファンが足し上がるわけですから。この企画が新しかったのは、その点に着目し、どうせならたくさんのYouTuberが登場する「一つの場」をつくってしまおうという発想そのものです。これにより、それぞれのYouTuberファンたちの集まる場にもなり、企業からすれば、継続的に自社の商品やサービスに接触してもらえる機会が得られたわけです。
2 大塚製薬「ポカリガチダンス選手権」
次は、自分たちの考えた企画に、インフルエンサーを巻き込むことで生まれる「いい関係」について。
大塚製薬さんがこの夏実施した「ポカリガチダンス選手権」。僕ら鬼ムービーもお手伝いさせていただいたケースです。
もともと、ポカリスエットのTVCMで流れていたダンスを見て、Twitterなどで「ダンスがかわいい」「フルバージョンが見たい」「自分も踊ってみたい」といった反応があったことが企画のきっかけです。それならいっそダンスコンテストを開催しよう! という発想でダンス動画を募集し、それをTVCMで流す、という仕組みを設計しました。コンテスト開催の「場」は、MixChannelです。もともとMixChannelでは、「踊ってみた動画」が人気コンテンツなので、この企画なら、組まない手はないですよね。
さて、ここで自分たちのダンスがTVCMで使われる、というモチベーション以外で、応募促進に寄与したのが、インフルエンサーです。応募者向けに用意したダンスの「お手本動画」の一つを、人気女性3人組ダンスグループ「STYLE」にお願いしてつくってもらいました。このお手本動画だけでも68.5万回再生され、200件を超えるコメントがついたのです。
もちろんそれだけが要因ではないのですが、結果的に600件を超える動画の応募がありました(相当難しい、ガチなダンスにもかかわらず)。「STYLE」のみなさんがダンスをする姿を見て、「やってみたい」「私たちにもできるかも」と思ってくれた、同世代ユーザーが多かったんだと思います。
ここでのポイントは、「参加者と似た立場で、同じような感覚を持っているインフルエンサー」と一緒に盛り上げていくという点です。もちろん、「人気」であることはいうまでもありません。これにより、ユーザーに「親近感」が生まれると同時に、「かっこいい!」「かわいい!」という「憧れ」の気持ちをも刺激してあげることができるのです。こうなると、これからのコンテスト企画では、応募のブースト施策としてインフルエンサーの活用が欠かせないことがわかりますよね。