神様が「そんなに感謝されても困る」と思うほど、感謝して生きている(ゲスト:宮本亜門さん)【前編】

澤本さんの京都神社めぐりパターンとは?

宮本:基本的には神様に見せるものです。奉納劇がはじまる前に全員で神様のほうに向かってお辞儀をして、終わった後もお辞儀をして。そういう意味では神に捧げるものです。

中村:奉納劇は、どこから演出を考えはじめたんでしょうか?

宮本:風土記がとても面白かったんです。母親と玉依姫がある日、川に行ったら、弓矢が飛んできたと。その弓矢を家に持って帰ったら、「枕元に置きなさい」と天から不思議な声が聞こえて、枕元に置いて寝たら、次の日、ご懐妊した。でも、父親は誰かわからなくて、色々聞いていたら、ある日突然、子どもが「私は実は地上の神ではない。天の神だ」と言って、天に行ってしまったと。

それで玉依姫は嘆き哀しみ、「もう一度、お顔を見せてほしい。会ってください、降臨してください」とお願いしたところ、降臨があって、息子は人々を守り、地上で玉依姫は人々を守ることになったと。天と地で、両方で人々の幸せを願う、それがお互いの役目だった、みたいな話があって。そのときにお参りしているのが玉依姫の姿で、面白いなと。

僕は基本的にシャーマンなど、ああいう文化が嫌いじゃないんです。沖縄に住んでることもあって、そういう知り合いもいるから、その原点や古代に興味があるんですね。

中村:そうやって聞くと面白そうですけど、それを神様向けに翻訳してやるというのが想像しがたいところです。澤本さんと亜門さんはどんなお話をされるんですか?

澤本:そのときは上賀茂さんの話をされて。僕は京都に行くのが大好きで、上賀茂神社には頻繁に行ってるんですよ。上賀茂さんのおみくじも持ち歩いていて、「本当に行ってます」とお見せしたら、大変喜んでいただいて。

宮本:「いただいて」って、私は別に神職じゃありませんけど(笑)。そのとき、「いいな、話が通じるな」と思いましたね。

澤本:僕は京都に行くと、神社をまわるのが好きなんです。仏閣もそうだけど、神社が好きで。だいたい、上賀茂さんに行った後に北野天満宮に行って。昔は上賀茂さんと下賀茂さんを掛け持ちしてましたが、京都の人に「両方を同じ日に行くといけない」と言われて。お互いにヤキモチを妬くのかな。そこからはちゃんと一泊して、日を開けて行くようにして。僕は上賀茂さんでずっとお参りするから、お参りの時間が結構長いんです。

宮本:なんで長いんですか? 何をお願いしているんですか?

澤本:欲張りなんですね。神社に行くのが好きな理由は、自分の今やらなければいけないものの整理整頓をするというのがあって。たとえば、お参りのときに後ろに人が並んでいると、後ろからの圧迫があるから、プライオリティが高い順にお祈りするんです。全部同じぐらいのレベルで考えていても、30秒で終わらなければいけないというときに、「これしたい、これやりたい」と言うと、今の僕の中で一番やりたかったのはコレだなと、神社にお参りするとわかるので。

それが好きなんです。好きというか、「神社で神様にもそう言われてるんだな」と思うんです。そうすると、AとBという仕事があって、「どっちもうまくいきますように」と言ったけど、「先にAと言ったな」って。仕事の優劣をつけちゃいけませんけど。

権八:それは仕事だけなんですか?

澤本:仕事だけじゃなく、色々なことを含めて全部ですね。タクシーで上賀茂さんから北野天満宮に行ったときは子どもの受験があったから、「受験がうまくいきますように」とお祈りしたんだけど、スーツじゃなくてダランとした服で行ったら、タクシーの運転手に「良い職見つかるといいね」って。たぶん神社を掛け持ちしてたから。

一同:

澤本:僕が職を探してると思われて、職探しでお祈りに行ってると。服をちゃんとしとけばよかったな。

中村:亜門さんは参拝に行かれますか?

次ページ 「過去に何度か本当に死にかけた亜門さん」へ続く

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