神様が「そんなに感謝されても困る」と思うほど、感謝して生きている(ゲスト:宮本亜門さん)【前編】

指揮者、演出家の登場が古典を大きく変えた!?

中村:僕はバイオリンを習ってるんですけど、バロック音楽(17~18世紀)の原曲で聞くと、めちゃくちゃ早いんですよね。ビート刻んでるみたいな。

宮本:やっぱりそうなんだ。だって、バロックってロックだよね。もともとはアバンギャルドですよね。だから、指揮者ができちゃったから、よくなくなったんじゃない?

澤本:指揮者が決めちゃったってこと?

宮本:そう。だって、バロックのときは指揮者がいないじゃないですか。みんな自由にやってたけど、全体をまとめる人、演出家みたいなのが現れちゃったからダメになったのかな。

一同:

澤本:太鼓も演出されたり。和太鼓なんかも。

宮本:ああいうのって面白いからね。和太鼓いると、ズルいと思いますよ。あれやられちゃったら、他が負けちゃう。ドーン、ダーンと、腹に響くというか、体が痺れていく感覚はいいですよね。

澤本:和太鼓を聞いていると、振動がくるから普通に痺れますもんね。

宮本:そう、根源的な音なんだなと思って。わからないけど、ビッグバンが起きたときはどんな音がしたのかなと。ドーンとしたかわからないけど、その音が最も再現できる楽器って何なのかって。そんなこと面白がったり。そうやって勝手に膨らませていくという、ちょっと病的なところがありますね(笑)。

澤本:確かにビッグバンの音って、和太鼓から考えないもんね(笑)。

権八:そこを結び付けて考えないですよね。でも、もしかしたら真空だったかから、音はしなかったかもしれませんね。

宮本:なるほど、それも1つですね。波動がガーッとね。

権八:でも、エネルギーはすごいですよね。

中村:やっぱり中心は人間で、人間が気持ちいいと感じるところということですよね。映像でお芝居を録画してTVで見ても面白くなくなるように、亜門さんは生で人間が演じるものに何かを掛け算していくほうがお好きなんですかね。

宮本:基本的に両方好きで、映像も大好きなんですよ。だから、今までなかったありえない掛け合わせの方法がないかなと思っています。映像は映像でどんどん膨らませて面白いと思うし、独り演劇じゃないけど、1人で完結するお芝居もできるだろうし。どんどん感覚は変わっていくんじゃないかなと。実際に演劇そのものの形も変わってきていますからね。

後編へつづく

構成・文:廣田喜昭

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