営業ですが、ほぼコピーライター、というケースもあります。
営業は全体を俯瞰し業務コントロールをします。クリエイティブワークの場合、クライアントから仕事を依頼されると、誰に発注し、どのメディアで、いつまでに、どういうスケジュールで進めてゆくかをまず考えます。全体設計をするのです。
ここで「誰に」に注目してください。仕事によってはもうクリエイターが決まっている場合もありますが、営業の戦略の一環として、クリエイターを指名する場合もあります。予算や規模、種類、クライアントに期待されていることなどを吟味して、「誰に」を決めるのです。スタッフィング裁量権を持っているとも言えますね。
コピーライターが社内にいない時、フリーや制作会社にお願いするには時間とお金がない時、自分でコピーライターをやってしまう、たくましい人もいるわけです。自分で、自分に発注する。コピーライターの仕事に興味を持っていた営業さんには、なかなかいいチャンスです。
そんなふうにして、営業職でありながら、コピーライターの修練を積んで、コピーライターとして他社に転職した方もいます。
私が知っている方は、今、大活躍中です。実は、営業はクライアントとの関係が密で近いため、その「本当の気持ち」がよく理解できるのです。そこが最大のアドバンテージです。
営業職出身のクリエイター、コピーライターは、クライアントとの良好な関係をつくるのがうまく、その信頼関係を根っ子に、いい作品を生み出すことが多いように思います。
求人広告を扱う会社の営業も、コピーを書く機会があります。このような会社では、コピーライターが営業職に似た業務をおこなっているケースもあります。
さまざまな広告関連の会社をよく調べてください(口コミもふくめて)。「書く」行為は共通していますが、一口にコピーライターと言っても、会社によって、いろんな働き方をしています。未経験だからこそ、視野は広く、頭は柔らかく。自分のキャリアを模索することが大切です。広告ジャンルに強い人材会社などに、アドバイスを受けてもいいと思います。
『これから、絶対、コピーライター』
博報堂で、長年にわたりクリエイティブ人材の、採用・発掘・育成に努めた著者が、門外不出であったコピーライターになるための方法を初公開。「コピーライターになる人は、特別な才能や、資格を持っている人?」。そんな多くの誤解を解きつつ、コピーライターのイキイキとした実像を明らかにします。