日清食品さんといえば、今年、話題沸騰のネタを連発(前もそうでしたけど、特に今年は著しい印象…)。ラジオから火がついた「10分どん兵衛」の謝罪文に始まり、動画関連では、どん兵衛のラップ動画「東西対立」、日清焼そばU.F.O.の往年のキャラクター・ヤキソバンが復活する動画シリーズ、そして、僕たち鬼ムービーが企画・制作させていただいた、チキンラーメンのBUZZ動画「侍ドローン猫アイドル神業ピタゴラ閲覧注意爆速すぎる女子高生篇」などなど、話題づくりに積極的です。
どうして、こんなにも続けざまに話題を生み出せるのか…。その秘密を探りに、新宿にある日清食品ホールディングスに潜入。宣伝部の東 鶴千代さんに聞きました。
「自己満足」はダメ。他者がツッコミできる余白を残す。
—ここ最近、日清さんはものすごい、WEB上のバズ起こしというか、話題づくりに積極的な印象です。打率の高いコンテンツをどうやってつくっているのですか?
特に若者に届けるということを考えると、TVCMよりもWEBで何かするほうが届きやすい環境になってきていますよね。でも、ただWEB上にコンテンツを置くだけではダメです。どういった文脈なら面白がってもらえるのか、どういう言葉なら伝わりやすいのか、ということを意識しています。
それと、つくったものが自己満足に陥らないように、ということも、すごく気をつけていますね。どの部分が、SNSでツッコまれるのか、という視点を大切にしています。こちらの言いたいメッセージだけをサーッと伝えるのではなく、生活者側からツッコミを入れたくなるような、余白の部分を残すことを常に考えています。
—TVCMをつくる時と意識するポイントは違うのですか?
違いますね。テレビの場合は、リーチが重要で、老若男女いろいろな人が見ているので、強すぎるメッセージや、過激な表現は難しい。もちろん、その中で「尖らせる」ことは意識していますが、受動的に情報を受け取る人が多いので、WEBの世界と比べると、広く浅くの意識ですね。WEBの場合は、検索などを入り口に、能動的に見る人が多いので、「尖らせる」意識が一層高まります。
WEBコンテンツをつくる時は、すごく尖った発想から始めて、その按配をどこまでやるかをクリエーティブや制作会社と徹底的に議論します。尖り加減は大いに悩むところですが、WEBの文脈に乗るか、人の言の葉に乗るか、ツッコミポイントはあるか、という視点で加減します。
もちろんCMの場合も、あるメッセージを設定し、それがいかに深く伝わるか、今の時代にどう刺さるかということを議論し、企画をブラッシュアップしてつくっているので、やり方が大きく異なるということではありません。表現の幅を変えているだけです。