それぞれの時代ごとで「新しい見え方」が必要
—日清さんは、ロングセラーブランドが多い印象です。愛され続けるためのコミュニケーション戦略に何か秘訣はありますか?
今年、チキンラーメンは58歳、カップヌードル45歳、どん兵衛とU.F.O.が40歳。社内では「うちのブランドは、高齢化が進んでる」なんて、言われています(笑)。長年、支持をいただけるということは非常にありがたいことです。
愛され続けていることに秘訣があるとするならば、「ブランドのイメージを変えずに保ち続ける」というよりも、「時代ごとに、ブランドの見え方が変わっている、変えている」ということに、あるのではないかと思います。45歳のブランドが、そのまま勝負しても、10代の若者からすれば、自分とは遠い存在に映ってしまいますよね。だったら、若者向けに新しい見せ方を考えなければなりません。
もちろん、「若者向けの表現方法は、オンライン動画なのだ!」と、ひとくくりにはできませんが、各プロモーションを考えるにあたり、若者向けのメッセージのつくり方や、メディアの使い方は意識しています。各施策を通して、ロングセラーブランドが何度でも新しく見える、ということを狙っています。
—チキンラーメンのBUZZ動画「 侍ドローン猫アイドル神業ピタゴラ閲覧注意爆速すぎる女子高生篇」も、昔からのファンというよりも、若者を意識した施策ですよね。
チキンラーメンは、58年間、主婦の方をメインターゲットにしていましたが、今回の動画は、新しいターゲットとして、これまでアプローチしていなかった若年層に向けた取り組みです。「チキンラーメン、そう来たか」という、若者からのリアクションを期待しました。長すぎる動画のタイトルも、「バズ動画あるある」を「てんこ盛り」にしたのも、あえてです。そこに「ツッコミ」の要素や、取り上げられる「切り口」を持たせました。
コンテンツの中身だけでなく、それを世に出す時のプレスリリースの見出しや表現方法も、各担当が吟味しています。
最も参考になるのは、13文字から成るYahoo!トピックスの見出し。ヤフトピでどう表現されるかを意識したり、Twitterなら140字でどう収めるか、Facebookならどうか、など、それぞれの出先を想定して、言語化しています。どの文脈ならどのメディアが取り上げてくれるのか、どう表現したらお客様が反応してくれるのか。試行錯誤を繰り返し、ようやく最近少し打率が上がってきましたかね。
WEBを起点にしたネタでも、WEB文脈や業界の話題だけにとどまらず、その他のメディアにも広がって、最終的には「世の中ごと化」するようなことを考えていきたいです。