引きこもっていた高校2年生の頃は、想像力を持て余して苦しかった(ゲスト:宮本亜門さん)【後編】

SNSは落ち込むから見ないようにしているが、つい見てしまう

宮本:それは微妙なところで、面白い点でもあり、危険な点でもあるので。たとえば、お客さんの心に沁みたときの感覚ってわからないんですよ。笑い声のように声に出るものや拍手だけを信じちゃうと、またわからなくなって。コメディだったらありだと思いますが、ハンカチを出すなど目に見える反応以外の心の響き方というのはわかりませんから。

権八:亜門さんはネットの反応も見たりしますか?

宮本:見ることありますね。みなさん見ます?

澤本:なるべく見ないようにしてますが、見ちゃったりして。

宮本:僕も同じ。なるべく見ないようにしてるけど、見ちゃうんだよねー(笑)。見ると落ち込むんだよ。もう本当に見たくないんですよ、実を言うと。見たくないんだけど、プロデューサーが「そんなに時間あるの?」って言いたくなるほど、みんな見てるんですよ。

それをもとに人が何か言ってきたりするから、それに対して、自分はこうやりたかったからと言い返せるようにしようと思うんですよね。でも、昔はネットじゃなくて、劇評というのが新聞やそういうのに載っていて。

澤本:ありましたね。

宮本:そのときは悪いものも良いものも4、5回は必ず読み返して、悪いものは体が震えるまで読んでました。それで「ちくしょー!」と。「俺はバネにするんだ」とやってきたけど、SNSは立場がみんな違うし、お酒を飲んで書く人もいれば、見ないで書いちゃう人もいるでしょ。だから、信用具合は前ほどではないですね。だから、これ以上、そんな言葉に惑わされちゃいかんと自分に言ってるんだけど、まだ初心者ですね。

一同:(笑)

権八:わかります、その気持ち。モノをつくってる人はわりとそういう雰囲気じゃないですか。

宮本:チェックしてるということ?

権八:見たくないんだけど、やっぱり気になって、ちょっと見ちゃって。でも、どうなんだろう。僕もおこがましいんですけど、同じような感じで接してますね。それで見なきゃよかったと思ったりして。

宮本:あれは褒められてるとめちゃめちゃうれしいからね。大統領のリンカーンが死んだときに胸から出てきたのが自分のことをよく書いた論評だったと。その新聞記事を常に胸に入れてたって有名な話だけど、人間ってやっぱり認められたいし、褒められたい。ツイッターを見ていてもうれしいですよね。でも、1つダメなのがあるとガクーンと。

権八:そうなんですよ(笑)。

宮本:それは見なければいいのに。だから、良いほうも見るなとみんなに言われるんだけど、見たいですよね。

中村:そんなSNSはあまり見たくない亜門さんが12月は日生劇場で『プリシラ』という日本初上陸のミュージカルの演出を手掛けられるということですが、こちらの見どころは?

宮本:これは12月の年末の大パーティみたいな感じです。ドラァグクイーンが30人くらいこれでもかという感じでやるので、楽しく発散したい人はぜひ来てください。音楽はマドンナからティナ・ターナーから、ノリノリの曲ばかりです。

澤本:楽しみですね。

次ページ 「CM演出の経験がある亜門さん。今後もやる可能性あり?」へ続く

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