ダウンロードのきっかけは「口コミ」
累計2400万ダウンロード(2016年10月時点)を突破した、バイドゥが提供する無料のスマートフォン用キーボードアプリ「Simeji」。バイドゥでは2013年よりTwitterのプロモーション活用を続け、2015年7月からはテレビCMも使用したキャンペーンをスタートするなど、攻めのプロモーションを展開している。一連のキャンペーンを仕掛けるのが、バイドゥ マーケティング・広報部の岡本岳洋氏だ。
「Simejiは、もともとAndroidが登場した際、日本語文字入力の不便さを解決しようと日本人2人が独自に開発したアプリです。そのアプリに先見性を見出したバイドゥが買収。その後、2014年9月にApple社がサードパーティにキーボードエリアを開放したタイミングでSimeji iOS版もリリースしたところ、iOS版でも人気に火が付き、この勢いをさらに加速させようと2015年からテレビCMを開始。昨年に続き、今年もユーザー数のさらなる拡大に向けて、積極的なプロモーションを展開しています」。
テレビCMだけでなくTwitterでのキャンペーンを企画した背景にあるのは、口コミの影響力に対する気付きがある。「2016年度のテレビCMを始める前の6月末時点で、すでに約2,200万ダウンロードがありました。調査をすると認知経路の約5割が口コミ、ダウンロードを決めたきっかけでも口コミが大半を占めました」(岡本氏)。
口コミ量とダウンロード数には相関関係がある……そう確信した岡本氏は、ソーシャルメディアの活用がビジネスに貢献するのではないか、という仮説を抱くようになる。
ソーシャルリスニングに企画のヒントが
日頃からTwitterを使いソーシャルリスニングをしていた岡本氏。ユーザーの声を見ていても、Simejiを褒める声が多いと感じていた。「『広告会社のクリエーティブディレクターの方から、Simejiはその機能性・利便性を認められて、すでに既存ユーザーから“Simejiさん”“Simeji先輩”などと愛情を込めて人格化されており、そういったプロダクトを褒めてくれているユーザーの声を拾いあげてコミュニケーションに活かして可視化してあげることが、ユーザーと企業の絆づくりにつながるのでは』という提案をもらい、すごく良いアイデアだなとピンと来ました」(岡本氏)。そこで企画したうちの一つの施策が7月に実施したTwitter広告を活用したキャンペーンだった。
キャンペーンの内容は、一日にユーザーが最初に目にするタイムラインに掲載される広告プロダクトであるファーストビュー*にアプリインストール商品のビデオアプリカード*を使用し、擬人化した「Simejiさん」動画を配信。そのツイート内で「#Simejiさんにキーボードの背景アピる」のハッシュタグを活用し、既存Simejiユーザーに自身のキーボードの背景画面をTwitter上に公開するよう促すというもの。今回はSimejiの機能の中でも、特に支持が高いキーボードきせかえに特化をする形で実施した。
「ユーザーの方たちのSimejiに対する愛情を拾い上げて可視化するというコンセプトを実現するためSimejiを擬人化することを核にキャンペーンの企画が固まっていきました」(岡本氏)。
本企画は狙った通り、ユーザーの心を捉え、想定を上回る結果が出た。「今回のキャンペーンで最も重視していたSimejiに関する口コミ数は、キャンペーン開始前の1カ月平均と比較して136%に上昇。新規ダウンロード数もキャンペーン期間中、ファーストビューの実施日を含む週のインストールが最も大きく伸び、開始前の平均週間ダウンロード数の196%まで伸びました」。