#08 バズの合体 –マスがネットを騒がす条件–

「どうしたらCMやテレビ番組が、ネットでバズるのか?」

マスに精通するクリエイターの方や、テレビ番組を作られている方と話すと、こんな話に行き着きます。
テレビで流した映像をそのままアップしても、どうにも広がらない。

その理由は、マスとネットの3つの根本的な違いにあります。
それは、「尺」「前提」「文脈」です。

1.「尺」の違い

以前この記事にも書いたように、ネットでシェアをされるためには、
スマホを通じた「これ見てシェア」の瞬間をイメージできるかどうかが重要、と書きました。

より面白くて、より短い“コンテンツ”が求められる。
大体は15秒から3分程度です。

CMの15秒という尺は一見シェアに向いているように見えますが、
企業の伝えたいメッセージをしっかり盛り込むという条件付きの15秒は、誰もが見たくなる“コンテンツ”にはなりづらい。

一方、テレビ番組は、シェアするにはあまりにも長い。
高いコンテンツ力を持っていたとしても、スマホでちらっと見せて会話を盛り上げたいシーンには、十分すぎるボリュームがあります。

2.「前提」の違い

ネットでは、人にシェアをされて初めてコンテンツが多くの人にリーチする一方で、
マスはそもそも圧倒的な、リーチ力を持っている。

そんな前提があるマスの主題は必然的に、
CMであれば、「その中でいかにうまく伝えるか?
番組であれば、「どうすれば興味を持って見続けてもらえるか?
が最も重要になります。

必要最低限の長さでコンテンツ力を高め、「いかにシェアをしてもらえるか?」が重要になるネットとは、そもそもの前提が違います。

3.「文脈」の違い

ネット発で拡散されるためには、
国境を越え、人種問わず広がっていく爆発力が必要です。
だからこそ、文脈がなくても世界中の人が反応できる普遍性が不可欠。

一方マス発の場合は、そもそものリーチ力があるため、
日本人にしっかり届いて、しっかり皆が拡散をしてくれたら、それだけでバズの総量は飛躍します。
つまり、どっぷり日本の文脈に根付いていても問題がないということ。

以上の「尺」「前提」「文脈」という根本的な違い。
この両者の違いを巧みに捉え、見事に話題を最大化しているマスコンテンツが存在します。

次ページ 「マス発ネットの特大バズケース」へ続く

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栗林和明(TBWA\HAKUHODO Buzz Machine)
栗林和明(TBWA\HAKUHODO Buzz Machine)

1987年生まれ。上智大学経営学科卒業。専門は「バズ」。 話題の“量”、“質”、そして“精度”を高める。 過去100社以上のソーシャルメディアマーケティング、 インタラクティブプロモーション施策を担当し、直近2年で獲得映像再生数は8500万回超。主な担当作品は縦型スマホジャックMV「RUN and RUN」、日産自動車「Intelligent Parking Chair」「#猫バンバン」、オーストラリア政府観光局「GIGA Selfie」、AKB48「LOVE TRIP」MV、「COGY」ブランドムービー、サントリー「忍者女子高生」、など。 カンヌライオンズ Gold、BOVAオンライン動画コンテスト Grand Prix、メディア芸術祭審査員特別賞、電通賞最優秀賞、ACC Silverなど
https://www.facebook.com/kazuaki.kuribayashi

栗林和明(TBWA\HAKUHODO Buzz Machine)

1987年生まれ。上智大学経営学科卒業。専門は「バズ」。 話題の“量”、“質”、そして“精度”を高める。 過去100社以上のソーシャルメディアマーケティング、 インタラクティブプロモーション施策を担当し、直近2年で獲得映像再生数は8500万回超。主な担当作品は縦型スマホジャックMV「RUN and RUN」、日産自動車「Intelligent Parking Chair」「#猫バンバン」、オーストラリア政府観光局「GIGA Selfie」、AKB48「LOVE TRIP」MV、「COGY」ブランドムービー、サントリー「忍者女子高生」、など。 カンヌライオンズ Gold、BOVAオンライン動画コンテスト Grand Prix、メディア芸術祭審査員特別賞、電通賞最優秀賞、ACC Silverなど
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