動画の現時点での「答え」と「未来予想図」

動画講座の振り返り

10回にわたり、さまざまな角度から、動画に関する知見を深めてきましたが、いかがでしたでしょうか? 僕たちは、知れば知るほど未開の世界だということに、改めて気づかされました。裏を返せば、まだまだ新しい「答え」を見つけることができる領域だということです!

「答え」は日々更新されるものだとは思いつつ、現時点における僕らなりの「答え」を整理したいと思います。新時代を切り拓いた坂本龍馬の「船中八策ならぬ」、題して、「動画八策」です。

「動画八策」

鬼ムービー作、「動画八策」

これが、連載を通して学んだ、僕たちの「動画八策」です。成功する動画を生み出すために、常に心掛けたいと思います。でもじゃあ、「成功」って何でしょう。

100万回再生は成功という神話

動画の成功とは、YouTubeで100万回再生されること? それとも、さまざまなソーシャルメディアで再生されること? あるいは、見てくれた人の影響の深度(エンゲージメント)? いやいや、ブランドや商品に対する心理変化や態度変容でしょうか?

本来は、オンライン動画って全体のコミュニケーションやキャンペーンの中の一部なので、動画だけの効果を測るよりも、全体でどうだったのかという検証方法が正しいと思うのですが、今回は動画のみに絞って考えてみたいと思います。さらに動画のみといっても、HERO動画だけをつくった場合と、HERO・HUB・HELP動画全てをつくった場合でも、効果の測り方が違うと思います。

  • 主にどこで再生されたのか
  • 再生回数に主眼をおき、「いいね!」やシェアはあまり重視しないのか
  • 再生回数は少なくても、エンゲージメント(いいね!・シェア数)の高まりを重視するのか
  • 動画を見た後のサイト遷移率が大切なのか
  • 遷移先のサイトでの滞在時間が重要なのか

僕らも実際に動画をつくる際は、こんな表を作って、どの動画にどんな目標を課すのか、明確にしています。動画だから100万回再生を超えたら、成功! と思ってしまいがちですが、決してその限りではないということを忘れないためです。

<3H指標整理チャートの例>

この表は、ある動画の効果検証のためにつくったものです。何を意味しているのか、少し解説しますね。色つきのマス目が、各動画で重視した評価軸です。

<HERO動画>
このケースでは、HEROの役割を「認知・リーチ」としています。主な指標は「再生回数」です。
Twitterでの拡散に向いている「〇〇してみた系」の動画だったので、一番重視したのは、Twitterでの再生回数です。YouTubeやFacebookでの再生回数や、「いいね!」数、シェア数などは、二次的な指標としました。サイトへの誘引数やECサイトでのコンバージョンなども計測はしますが、HEROに課した役割ではないので、色がついていません。

<HUB動画>
HUB動画には、2つの役割を与えました。①商品イメージの向上 ②ブランド関与度の向上です。
①の指標は、再生回数に対する「いいね!」の数としました。この時のHUB動画は、商品が主役でした。商品が主役である動画に対して、「いいね!」がつけばつくほど、商品に対するユーザーのイメージがアップしている、という考え方に基づいています。

②の指標としては、YouTube広告で流したHUB動画を見た人がどのくらいサイトに遷移するか、その遷移数を置いてみました。動画を見た後にその商品のサイトへ行き、より詳しい情報に触れるという行動をとった人は、ブランド関与度が上がっていると判断しました。サイトを訪れた人が長く滞在して、より多くの情報に接触したかどうかも、二次的な指標として見ていきます。

<HELP動画>
そしてHELPの役割は、購買意向を喚起すること、としました。ですから、動画を見てECサイトへ飛んだ数が指標となります。ECサイトでの滞在時間や、実際に購買した数も見ていきますが、これはECサイトのデザインや構造に引っ張られることが多いので、二次的な指標とします。

この動画施策の場合は、3Hの動画それぞれの目的に合わせて、どのプラットフォームにおける何の数字を見ていくべきかを、このように整理をしました。動画の中身や狙いによって、この中のどのマスを色つきにするかは変わると思います。もちろん、これ以外の指標の選択肢もあると思います。

重要なのは、この整理を動画の設計時点で考えておくことです。動画ができてから、ではありません! 何を目的にこの動画をつくるのか、世の中に出て行った時に何の数字がどう変わっていくと「成功」と呼べるのか、をチーム全員で事前に共通認識を持っておく。これって当たり前のことですけど、とっても大事なことです。

次ページ 「失敗は成功の母である」へ続く

次のページ
1 2 3
眞鍋 亮平/鹿間 天平/根本 陽平(鬼ムービー)
眞鍋 亮平/鹿間 天平/根本 陽平(鬼ムービー)

オンライン動画を中心に、最適かつ先進的なコミュニケーションをプランニングから制作・PDCAまで担う専門チーム。クリエーティブ、PR、メディアを中心に各部門からデジタル領域の知見を持つスタッフがグループ横断で集結している。名前には、鬼ヤバい・鬼泣ける・鬼かわいいなど、オンライン上の動画を楽しむ世代が使用する「鬼」という言葉に着目し、鬼○○な動画を生み出すチームという意味を込めている。

眞鍋 亮平/鹿間 天平/根本 陽平(鬼ムービー)

オンライン動画を中心に、最適かつ先進的なコミュニケーションをプランニングから制作・PDCAまで担う専門チーム。クリエーティブ、PR、メディアを中心に各部門からデジタル領域の知見を持つスタッフがグループ横断で集結している。名前には、鬼ヤバい・鬼泣ける・鬼かわいいなど、オンライン上の動画を楽しむ世代が使用する「鬼」という言葉に着目し、鬼○○な動画を生み出すチームという意味を込めている。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ