4つの選択肢から1つを決める
また、顧客には4つのオプションを提示して後にその結果を知らせるのだが、この効果も大きい。「どこかに行けます、お楽しみに!」というよりは「山形か石垣島か高知か札幌に行けます」と言われた方が具体性が高いので期待値や旅行中のシーンが想像しやすくはないだろうか。
申し込んでから3日のワクワク期間に拡散
そして結果が解るまで3日間あるという点も重要だ。当事者とその友人のみならず、ソーシャル上に「どこに行けるか楽しみです、○○だったらいいな」といった書き込みが多発しそうだ。そして自らも検索し「○○になりました」といった書き込みを多く目にすることになるだろう。ソーシャル時代を意識した設計がなされている。また、その候補地の情報も届けられるので各旅が当たった場合の旅行プランに思いを馳せることも出来るので、実際の旅行に加えたエンターテインメントと候補の地域の情報の共有が行われることになる。
時代・顧客のインサイト:セレンディピティ、決めてほしい、しかも安い
個人的にも感じているが、現代人は決めなければならないことが非常に多い。あるいは、ターゲティング広告のように自分の趣向を勝手に解釈して広告が追いかけまわしてくるようなことを経験されているのではなかろうか。
今回の施策はそのインサイトをついており、ややもすると少なくなった“偶然の出会い”“縁”“おまかせ”といった要素が組み込まれている。必ずしも自分の意思ではない目的地が決められることは、逆に今まで行こうと思わなかった新しい旅行先について考えるきっかけになる。その結果選択されなくても、そこに後に訪れる確率は高くなるのではないだろうか。また日本独特の“おまかせ”という性善説文化があり“誰かが決めてくれる”という心地よさをもたらしてくれる。価格設定も金銭ではなくマイレージでしかも通常の半額以下という設定であれば顧客の納得性も高いだろう。どうせ期限で失効するマイルであればなおさらである。ネームングも「どこかにマイル」と秀逸で一発で施策が理解できるものになっている(ちなみに商標は9月6日に出願済みで審査待ちとのこと)。
高度なデータ分析や技術が必要な施策
4つの旅行候補を提示し、また実際の旅行先を決定するためには非常に高度で複雑なIT、データ連携オペレーションが必要となってくる。その日、その時間帯に提供可能な旅行先はどこか、を瞬時に判断するにはいくつかの手法があるが、リアルタイムに近い状況で実施するのは大変な負荷がかかる。それは予約状況、過去のデータによる推測、その都市特有の事情(コンサートやお祭り)を「計算しなければいけない」からである。またその旅行先の観光情報などのコンテンツをも瞬時に表示する必要があり、非常に高度なWebオペレーションと監視体制が必要だろう。