広告会社や広告を学ぶ学生に関わるニュースが巷を賑わせた2016年。なぜ、いま多様な問題が起きているのでしょうか。『宣伝会議』1月号では、特別企画「日本の未来と共生できる広告・広告界」を実施。広告主、広告業、メディア、大学など、広告界に関わる一人ひとりが持つ問題意識を共有することを通じて、未来に向けたヒントを探りました。
調査概要
対象人数:男女1000人
対象年齢:20~69歳(広告会社・広告制作会社に勤務している人を除く)
対象エリア:全国 対象時期:2016年11月
調査協力:クロス・マーケティング
日常に広告に触れていながら、広告業界との接点は希薄
「消費者目線」「生活者起点」の重要性が叫ばれ、多くの広告パーソンが「顧客から共感を得ること」を最重要事項として捉え、日々さまざまなプロジェクトに臨んでいる。個々の企業や商品では頻繁に消費者調査が行われているが、広告界自体には、一体どんなイメージが抱かれているのだろうか。
『宣伝会議』編集部では、クロス・ マーケティングの協力の下、全国の 20~69歳の男女1000人を対象に、広告や広告業界に対する印象を聞くアンケートを実施した。
Q1
あなたはこれまでに「広告」について何らかの形で学んだことがありますか。
Q2
あなたは、「広告」という言葉からどのような印象・イメージを受けますか。
Q3
Q2で回答した印象・イメージを受ける理由はなんでしょうか。
Q4
「広告会社で働く人」と聞いて、思いつくイメージを教えてください。
Q5
あなたは、「広告業界」「広告会社」に対してどのような印象・イメージをお持ちですか。
Q6
Q5で回答した印象・イメージを持っている理由はなんでしょうか。
Q7
あなたは、広告業界で働いている知人・友人や、各種メディアの報道などから、広告業界の事情や仕事内容、働き方、職場環境について話を聞いたり見たりすることはありますか。
Q8
Q7で「よくある」「たまにある」を選んだ方に伺います。その内容はどういうものでしたか。
最初の質問は、「これまでに『広告』 について何らかの形で学んだり、『広告』に関連する講義・セミナーを履修・受講したことがあるか」を尋ねるもの。ほとんどの人が広告について学んだことはないと回答した。学んだことがあると回答した人に、それはいつ頃かを尋ねると、小学生から高校生という人はほとんどおらず、「大学生・専門学生の時」47.7%・「社会人になってから」40%でほぼ二分される結果となった。
Q2で、「広告という言葉から受ける印象・イメージ」を聞いたところ、「大変良い」2.6%・「良い」19.6%・「どちらとも言えない」46.9%・「悪い」 5.4%・「大変悪い」1.1%・「気にしたことがない」24.4%で、ネガティブな印象を持つ人は少ないが、無関心な人が大多数を占める様子が見えてきた。
また、Q5で「広告業界・広告会社に対する印象」を聞くと、それぞれ1.4%・10.6 %・43.4 %・17.2 %・6.1 %・21.3%という結果に。広告そのものより、広告業界・広告会社に対して良くない印象を持つ人が多いようだ。
「これまでに広告業界、広告会社を自身の就職先の候補として検討したことはあるか」を聞いた設問では「検討経験なし」が93.4%と多数を占めた。Q4では、「広告会社で働く人」に対する印象を自由回答で聞いた。
代表的なものをピックアップしたが、全体的に「忙しい」「拘束時間が長い」「激務」「派手」といった声が目立つ。一方で「トレンドを掴んでいる」「発想力が豊か」「仕事熱心」「ユニークな発想を持った頭の良い人」などポジティブな意見も少なくなかった。
消費者が日常の中で広告について意識する機会が少ないのは当然だろう。しかし広告業界という産業、またそこで働く人たちの存在意義や役割を伝える努力は必要なのかもしれない…。そんな思いを抱かせる調査結果となった。