simpleshowのドイツ本社に潜入。創業者のイエンス・シュメルツル氏にインタビューし、simpleshowの誕生秘話や、核となっているコンセプト、simpleshow Academyなどについて聞いた。
―simpleshowの設立経緯は。
Stuttgart Media Universityでメディアコミュニケーションを専攻していたのですが、iPhoneの登場で未来が激変すると痛感させられ、就職せずに仲間と起業した会社が、simpleshowの母体です。
当初は総合的なクリエイティブ会社を想定していましたが、創業まもなく、ソフトメーカーから業務工程をわかりやすくまとめた動画の制作を依頼されました。
「プロセスの特徴を短時間で説明し、使ってみようと共感させるにはどうしたら良いか」―知恵を絞ってたどり着いたアイデアが、学生時代に研究していた認知心理学や脳科学をもとにした、「シンプルな映像表現」と「自己効力感を高めるストーリーテリング」の掛け算でした。
こうして、プロセスの魅力を3分で説明する、初の「解説動画」は完成しました。するとすぐに「解説動画」の注文ばかりが舞い込むようになったのです。しかも驚いたことに、どのクライアントも決まって、「あれと同じ表現のものが欲しい」と言うのです!そうして、「自分たちの強みは、個性的なクリエイティブではなく、退屈な情報を魅力的な物語に変換する一連のノウハウだ」と確信し、解説動画の道を追求するsimpleshowが誕生したのです。
―simpleshowの動画の多くが物語構成になっている理由は。
ストーリーテリングは人の気持ちを動かす力を持っているからです。
simpleshowでは、ターゲットと重なるペルソナの主人公が、悩みや心配事を打ち明けます。これは、日頃のコミュニケーションでも大切なことです。心を通わせ、お互いが理解し合ってないと、自分の思い通りに他人に反応してもらうことはできません。
しかし、企業活動では、自社の商品やサービスの良さを、時間をかけて一方的に伝えようとします。聞かされるほうは、たまったものではありません。ところが、ターゲットが共感していれば、自分が伝えたいメッセージを「前向きに」聞いてもらえるようになります。その結果、3分ほどの短い解説動画を見た後、積極的に調べたり・質問したり・申し込んだりといった次の行動喚起へ、効率的につないでいくことができるのです。