見た目だけでなく素材や味、食感もデザインー髙山堂「みたらしだんご」

『100万社のマーケティング』は、「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。第9号(2016年11月28日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

 

地域に根差す企業とクリエイターがパートナーとなり、新しい価値を生み出した事例を、手がけたクリエイターが自ら解説。今回は関西エリアの事例です。

素材から提案 試行錯誤を共に重ねる

明治20年(1887年)創業、代表銘菓「スウィートまーめいど」がベルギーのiTQi (International Taste & Quality Institude)で最高位の3つ星を獲得するなど、各所から高い評価を受けている、神戸の和菓子屋・髙山堂(たかやまどう)。JR新大阪駅や JR大阪駅などで販売されている「大阪きんつば」は、定番の大阪土産です。

UMA / design farmでは、そんな髙山堂と、さまざまなお土産の開発を進めています。その中の一つ「みたらしだんご」は、2012年に商品をリニューアルする際に、デザインを担当しました。

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ただパッケージのリニューアルをするだけではなく、鰹だしから昆布だしに変更することから提案をし、たれの味や食べ心地、大きさなどがどのようなものが良いのかを、ともに試行錯誤しながら開発を進めました。

はじめは、私たちが大阪から手軽に買っていけるお土産がないと思っていたことがきっかけで、UMA / design farm社内で独自のプロジェクトを2011年頃から立ち上げ、駅などで販売されている商品をリサーチしていました。

現在に至るまで大きくは変化がありませんが、当時から「粉ものお笑い文化」が前面に出たものや、味よりもインパクト重視のものが多く、「食べる」というよりも「話せる」ことを中心に設計されたお土産が多いことがわかってきました。

そのようなことを独自に進めているところで、五代目の竹本洋平さんと出会って意気投合し、工場の見学をさせていただくことになりました。隅々まで見せていただき、想いを聞いていく中で、「食べる」ことを大切にしている会社だと感じ、そこに「話せる」要素をもう少しだけ素材自体に組み込むと、新しいものができるのではないかと考え、素材から提案をしていく取り組みがスタートしました。

公式サイトでは、みたらしだんごを次のように紹介しています。

「こだわりの素材から生まれた秘伝の『もちもちたれ』。豊かな風味とすっきりとした甘さの特製たれに包まれただんごには江州米を使用。もっちりとした歯切れの良い食感で、たれとの相性も抜群です」。

プロジェクトを進めていくにあたって私たちが大切にしていることは、自身が商品に対する想いを持って仕事をするために、パッケージだけでなく、一人のユーザーとして商品そのものにも社会的な責任と関係をつくることです。

どのような規模感の地域や都市であっても考え方は変わりませんが、クリエイティブな仕事が目指すことは一つ、関わる会社の皆さんが「いまよりも仕事が楽しくなるきっかけができること」だと思います。そのきっかけが、より良い商品をつくる環境につながり、持続可能な社会を構築する小さな動きを生み出すようになると考えています。

原田祐馬 Yuma Harada
UMA / design farm代表

1979年大阪生まれ。大阪を拠点に文化や福祉、地域に関わるプロジェクトを中心に、グラフィック、書籍、空間、展覧会や企画開発などを通して、理念を可視化し新しい体験をつくりだすことを目指している。「共に考え、共につくる」を大切に、対話と実験を繰り返すデザインを実践。

 

CLIENT’S VOICE

老舗の信頼を守る暖簾としてのクリエイティブ

UMAさんには、主にお土産市場でのブランディングをお願いしています。ブランディングでは、私たちが菓子づくりで大切にしていることを、端的かつ明確に伝えることを目指しています。地域とのコミュニケーションツールと して、信頼を守る暖簾として、クリエイティブを非常に重視しています。

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竹本洋平 Yohei Takemoto
髙山堂 代表取締役社長(5代目)


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