※本記事は『編集会議』の一部抜粋です。
「ちょ待てよ」自転車の女子高生 追いかける自転車男 熊本市
SMAP解散の一報が日本中を騒がせた2016年1月。こんなタイトルの記事を西日本新聞が出しました。熊本市で、自転車で下校中の女子高校生を、男が「ちょっと待てよ」と叫びながら追いかけたという事件を報じた記事です。男が発したセリフは「ちょっと待てよ」だったはずですが、タイトルではSMAP木村拓哉さんのモノマネで多用される「ちょ待てよ」というセリフに変わっています。一体なぜでしょうか。
その答えが「Web記事はタイトルが9割」という言葉にあります。これは良くも悪くもWebメディアをめぐる現状をうまく言い表しています。Webは雑誌のようにパラパラとめくることができず、新聞のようにざっと全体を眺めることもできません。
その一方で、SNSや検索結果からダイレクトに記事に着地することが増えてきたため、自然と記事一つひとつのタイトルが重視されるようになってきました。相当コアなファンを抱えるWebメディアでもない限り、今やトップページから順番に新着記事を読んでもらえることはまずないでしょう。
勝負できるのは記事のタイトルだけ–。それも戦場は急流のようなSNSのタイムライン。そのなかで生き延びるにはどうすればいいのでしょうか。基本のところを考えていきたいと思います。
重要なことは最初に言う
超基本的なことですが、Webにおいては人は左から右の方向に文字を読んでいきます。つまり「左」がとても大事。人の目を惹きつけるキーワードはなるべく左端に置いておきましょう。
タイムラインでも検索結果でも、左端の頭の部分は視認性が高く、よりクリックされるための重要な場所です。なので、「検索されやすい旬のワードや、人目を惹くキャッチーなセリフなどは冒頭に」。これが鉄則となります。
上の記事では「ティム・クック」よりも「AppleのCEO」のほうが響くワードだと判断し、先に持ってきました。良くないのが、サイト名やコーナー名といった付属品を冒頭に付けてしまうケース。そういった媒体もたまに見られますが、必ず記事タイトルを先頭に持っていくほうがクリックされやすい。具体的にはこういうことです。
先日、『広報会議』に掲載されていた次の記事。
「美人広報として取材してください!」
ウェブ編集者が驚いた、自分推しという広報スタイル 広報会議デジタル版
素晴らしいタイトルですが、もしこうなっていたらどうでしょう。
広報会議デジタル版 「美人広報として取材してください!」
ウェブ編集者が驚いた、自分推しという広報スタイル
「美人広報として取材してください!」というキラーフレーズが埋もれてしまいます。媒体名やコーナー名などの付属品はなるべく最後に置くか、むしろなくても問題ありません。最近はサイト名などの情報をタイトル要素に一切入れないメディアも増えてきました。
直感的に理解させる
記事タイトルはわかりやすさが大事ですが、だからといって記事の“説明文”になってしまってはいけません。タイトルは本文の要約や説明ではなく、読みたくなるようにさせる宣伝文句であり、キャッチコピーのような存在です。セクシーかどうかが問われます。
そこで参考にしたいのがAOLニュースです。とても特徴的な記事タイトルをつけています(キャプチャ参照)。
なんとトップページに掲載されている9本の記事のうち、6本に「◯◯すぎる」という文言が入っています。「ヤバすぎる」「バカすぎる」「セクシーすぎる」「エクストリームすぎる」「可愛すぎる」。過剰にも思えるほどの描写ですが、記事の中身もそれに負けないインパクトを保っており、AOLニュースは急成長を果たしました。
このテイストを根付かせたのが前編集長の恩納力さん。現在はサイバーエージェントに移り、あの「AbemaTIMES」を率いています。そこでも作風は変わっておらず、この通りです。
「ウェブはバカと暇人のもの」と言ったのは、Web編集者の中川淳一郎さんでした。ある一面では間違いなく真理でしょう。そして、今のWebに暇人はいません。誰もがタイムラインのなかで、一瞬の判断によって記事タイトルをクリックしています。馬鹿馬鹿しいくらいのわかりやすさが必要なのです。
・・・「上記のAOLニュースのトップページを見て、もうひとつ気づくこととは?」「SNSのシェアと相性の良いタイトル」「釣り見出しの問題点」など、続きは『編集会議』をご覧ください。
BuzzFeed Japan 編集者
鳴海淳義 氏
ニュース記者、NAVERまとめ職人、ブロガー、ベストセラー著者、ポッドキャスターと常に姿を変えながら活躍する流しのバズエディター。記事タイトルを見た瞬間にPVと主要SNSにおけるシェア数が見えるという特殊能力を持つ。
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