ヤフーは12月7日、「Yahoo!ニュース 個人」のオーサー向けイベント「オーサーカンファレンス2016」を開催した。
「Yahoo!ニュース 個人」は、有識者や専門家が「書き手(オーサー)」となって情報発信するプラットフォームとして、2012年9月よりスタート。記事を通じて「発見と言論が社会の課題を解決する」ことを目指し、500人のオーサーに対する執筆活動の支援も行っている。
2016年のベストオーサーには湯浅誠氏が選出
冒頭の挨拶では、ヤフー 執行役員 メディアカンパニー長の片岡裕氏が登壇。「ヤフーはユーザーや社会からもっとも必要とされ、信頼されるサービスインフラを目指している」とし、そのために、接点であるアプリ、消費から行動へとつながる仕組み、通知の最適化というサイクルを強化していくことを発表した。
第1部では、2016年の「Yahoo!ニュース 個人」の利用動向やこれまでのオーサー支援施策の実績と新たな支援施策について、ヤフー メディアカンパニーメディアチーフエディターの岡田聡氏が説明。8月の月間PVは、前年比約2倍で過去最高の1億5000万PVに到達し、毎月の寄稿数は1050本(前年比23%アップ)にのぼることなどが語られた。
新オーサーサポートプログラムとしては、「もっと届ける」「もっと身近に」「もっと役立つ」という3つの施策を紹介。「Yahoo! JAPAN」アプリと「Yahoo!ニュース」アプリからのプッシュ通知の強化とともに、コワーキングスペースや撮影・インタビューなどで使用するスタジオの提供、取材費用の支援、資料検索サービス「G-Search」の提供などが発表された。
岡田氏は「Yahoo!ニュース 個人」で最も重視していることとして、ポルトガル語で「用具係」を意味する「Roupeiro(ホペイロ)」を挙げ、「ホペイロは、サッカー選手の用具や身の回りをケアする存在。我々がオーサーのホペイロとなり、『Yahoo!ニュース 個人』が目指す『発見と言論が社会の課題を解決する』を一緒に実現していきたい」と語った。
そして、その「発見と言論が社会の課題を解決する」ことを最も体現したオーサーに贈られる「オーサーアワード2016」には、社会活動家であり法政大学の教授を務める湯浅誠氏が選出された。湯浅氏は、「1ミリでも進める子どもの貧困対策」というタイトルで、2016年7月から執筆を開始。読者を惹きつけるテーマやわかりやすい解説によって、1つの記事がSNSで2万以上のシェアを記録することも。受賞は、課題の理解促進や解決につなげようと尽力する姿勢が評価されたという。
湯浅氏は、記事を書く際に意識していることとして、「子どもの貧困は共感を得やすいからこそ、その共感を最大化して全体の貧困問題の牽引車にすること」「記事は常に発信が先行するが、読者の疑問を先回りして文章に盛り込むこと」「大きな石を動かすときに、賛成してくれなくてもいいから、反対しないでほしいというアプローチをとること」を挙げた。
「ヤフーさんは記事の質を重視しているが、ぼくとしてはできるだけ遠くの人にリーチすることも意識していたので、PVにこだわっていた。大きな石を動かそうとしても、実際には1ミリ動かすのもすごく難しい。だからこそ、1ミリでも動かしている人を記事で取り上げるなどして、今後も後押していきたい」(湯浅氏)。
また同時に発表された「オーサーコメント2016」では、タイムリーかつ丁寧なコメントが評価され、スポーツライターの矢内由美子氏が受賞。サッカーや体操、フィギュアスケートなどの幅広いスポーツを取材して情報発信している矢内氏は、「ここ最近、キュレーションメディアの問題が報道されているが、ようやくきたかという感じ。どんな気づきも議論も、一次報道が重要。そうした姿勢を忘れずに今後も取材に励みたい」とコメントした。