「フェリシモ猫部」の失敗談
フェリシモの松本さんが語ったのは、松本さんが部長を務める「フェリシモ猫部」の取り組みです。猫部は社内部活動制度によって始まった活動で“猫好き向け”の商品企画や販売に取り組む一方、ペットの殺処分問題の解決もテーマに掲げている、ユニークな取り組みです。
猫部では日頃から、部員であるユーザーから愛猫の写真を投稿してもらってサイトにまとめたり、その写真を公式アカウントで紹介したり、ファンとのコミュニケーションのサイクルをつくることに成功しています。
何しろ猫好きの集まりですから、その熱量は絶大です。ツイッターで募集した商品アイデア企画に、漫画家の山野さんが猫のマンガ付きの絆創膏「にゃんそうこう」を提案して、実際に商品化。ユーザーのアイデアが商品化されたというストーリーや、ユーザー投票でデザインを決める参加型の取り組みも相まって話題になり、多くの新規顧客獲得に成功したそうです。
いま猫と暮らすのに欲しいサービスを考えているのですが、みにゃさま何か案はありますでしょうか?
— フェリシモ猫部 (@felissimonekobu) 2014年5月14日
一方で、松本さんが失敗事例として語っていたのは、フェリシモ猫部でテレビCMを展開したときのこと。
猫部の取り組みが順調に拡大する中で、思い切ってテレビCMを打ってみたところ、猫部のファンたちは喜ぶどころか、無反応だったそうです。通常なら多数のリツイートがされる投稿も、テレビCMの投稿には反応が薄く、売上もほとんど上がらず、散々な結果になったとのこと。ここから、本来ファンと一緒につくっていく猫部の活動に、テレビCMという企業の宣伝行為をいきなり投入したことは、ユーザーとの関係性を間違えていたと気づかれたとか。
普通の企業の方ですと、フェリシモさんは「猫好きを対象にビジネスができて羨ましいな」と言いたくなるかもしれません。
でも実は、フェリシモ猫部は猫を題材にしているから成功しているのではなく、「にゃんそうこう」の成功事例のように日々のファンとのコミュニケーションがあるからこそ猫部が愛され、それが結果的に売上につながっているのです。このことは、テレビCMの失敗事例からも感じ取ることができるでしょう。
その延長で個人的に一番印象深かったのが、小林製薬の福井さんが話されていた誕生日メールの逸話です。