人材の多様性を重視するオグルヴィ&メイザーのチームビルディング

ニューヨークで開かれる米広告界最大規模のイベント「Advertising Week」のほか、最先端の知見が集まるニューヨークの広告会社や制作会社、メディア企業を視察するツアー「Business Creation Lab. 2016 in New York」(JTB主催、宣伝会議企画協力)が9月25日から10月2日まで開催されました。発売中の『宣伝会議』2017年1月号、アドタイ上でもその一部を紹介します。

(右から)エグゼクティブ・グループ・ディレクターのカート・ルンドバーグ氏、ECDのライアン・ブランク氏とマイク・ハーン氏

チョコレート工場をオフィスに

「現代広告の父」とも言われるデイヴィッド・オグルヴィが1948年に創設したオグルヴィ&メイザーは世界126カ国・地域に500以上の拠点を持つ広告会社。北米のアメリカ・カナダで17都市にオフィスを構える。WPPグループに属し、2015年の売上総利益は世界6位。デイヴィッド・オグルヴィが残した言葉“We sell or else.”(我々は売る。そうでなければ存在する意味がない)にもある通り、「売る」ことによるクライアントのビジネス目標達成の支援を明確に打ち出していることは同社の個性といえる。

訪れたニューヨークの北米本社はもともとチョコレート工場だったことから、今も親しみを込めて「The Chocolate Factory」と呼ばれる。オフィスには従業員が利用できるジムや床屋まで完備している。主に「広告」「エンゲージメントマーケティング」「PR」「メディア」「アクティベーション」「プロダクション」の各機能に分かれる。「デジタル」については専門機能を置かず、上記のすべてに関わっているという。

オフィスの壁には創業者のデイヴィッド・オグルヴィが

チームを活性化させるにはクライアントから

ケーススタディでは、音楽認識アプリ「Shazam(シャザム)」を活用して手持ちのスマートフォンでコーラが「飲める」コカ・コーラゼロのキャンペーンや、若い世代に向けてIBMに親近感を持ってもらう目的で、Tumblr(タンブラー)を活用した取り組みなどを紹介した。

 

ECDのマイク・ハーン氏とライアン・ブランク氏は、「以前ならテレビと雑誌でブランドと消費者を結びつけることができたが、今はデジタルを踏まえたあらゆる手法の組み合わせで『体験』を提供しなければならない」と環境変化への対応について述べた。ほかにも発泡性ミネラルウォーター「サンペレグリノ」や炭酸飲料「ファンタ」の事例を紹介した。

大手クライアントの仕事を数多くこなすオグルヴィ。特にIBMとは長期にわたる関係を構築している。その秘訣を聞くと、「ユニークな仕事をし続けること。そして結果を出すこと。さもなければ、3~4年で他のエージェンシーに取って代わられてしまう」という。長い間チームの士気を保つにはどうしたらよいかとの質問には、「クライアントに野心があれば、我々のチームも活性化する。チームをモチベートしたければ、クライアントをモチベートするのが近道でしょう」と指摘した。

チーム内に多様な人材を起用することの必要性を強調した。「例えば、男女比やアメリカ人と非アメリカ人の比率を半々近くにすること。ストーリーテラーやテクノロジストなど、様々な得意分野を持つ人を入れ、あえて『ごちゃまぜ』にした方がチームが活性化し、優れたアイデアが生まれるものです」(エグゼクティブ・グループ・ディレクターのカート・ルンドバーグ氏)。

オフィス内にはジムがあり、従業員は自由に使える
「先端企業視察とAdvertising Week ニューヨーク視察研修2017」テーマは「いかに既存の枠組みを超え優秀なチームと手を組むか」。
社外からリソースを調達し、パートナーと上手く組むことで、広告主企業も広告制作会社も勝てる時代が到来。
広告の枠組みを超え、新しい形の事業やプロジェクトを展開する、米国先進企業に学ぶ人気企画。

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