#09 バズの失敗 – 突いてはいけない”非バズ”のツボ7選 –

「あんなにお金をかけて、ひたすら徹夜したのに、全然バズらない…」
こんな結末は、だれにとっても他人事ではないはずです。

どうも、動画としてのクオリティとバズの総量は必ずしも比例しない。
恐怖です。

そんな恐怖を払拭するため、該当する映像を大量にアーカイブし、眺めてみることに。すると、7つの要因が垣間見えました。

題して、”非バズのツボ”
ウェブ動画において、バズを妨げる7つの原則です。

具体例はなかなか出しづらい立場なので、ぜひ、みなさんの思い当たるものをご想像ください。
※もちろん、この要素を含みながら大成功しているものもありますので悪しからず

1.長尺
匂わせぶりなかっこいいイントロ。何か壮大なことが巻き起こりそうなインサート。開発者の熱いロングインタビュー…!どれも感動を引き上げる立役者ですが、ウェブユーザーは、そうこうしてる間に光の速さで関連動画をポチってしまいます。

2.文脈依存
とってもよくできたストーリー、強力なタレント等々は一見それだけで拡散しそうですが、その文脈を理解してない人、しようとしない人には、一向に響かないのも事実。

3.品質依存
冒頭の通り「めちゃめちゃハイクオリティ!」なのにバズらないタイプ。最近は機材レベルも上がり、品質のベースも比例して高まったことで、ユーザーの目も肥えてきているのかもしれません。その中でも突き抜けて圧倒的感動を与えるか、もしくはそれとは別の軸でバズのフックを設けるか、どちらかが必要です。

4.必然性欠如
「それ、画像でよくない?」と突っ込めてしまう動画は、たとえニュースになっても、サムネイルとテキストだけ読まれて満足されてしまう可能性があります。映像にする必然性が重要に。例えば、Before/Afterを比べる実証実験は、2枚の画像さえあればその違いが端的に伝わってしまので、記事で読めばいい、という事になりがちです。

5.難解
「ア、アーティ…」と思われてしまうと、大半がそそくさと立ち去ってしまうのがウェブ。どっしり腰を据えて見てくれる映画とは違って、ウェブはとにかく軽い足取りで閲覧するので、作者が入念に込めたコンセプトやメッセージを中々汲み取ってもらいづらいと感じます。

6.既視感
ピタゴラスイッチ、プロジェクションマッピング、ドローン、360°映像…。
新しい領域は、どんな組み合わせでも企画になりやすい。ただユーザーから見てみると、「またかよ…」感がどんどん強まっています。
バズフックになりやすいのは勿論ですが、踏み込むなら相当な新しさが必要になりそうです。

7.誰得
“こんなサプライズを仕掛けてみました!”、”こんなギャグアイテムをつくってみました!”→ユーザーの反応「お、おう…」。こんな例が急増しています。確かに動画としては面白いかもしれないけど、自分に何の影響もない、世界は一ミリも変わらない。そんなケースに対する無関心っぷりが高まっている気配がします。

こんな要素が抽出されましたが、一言でまとめるなら、”コンテンツ力の不足”に尽きます。より多くの人に、より価値の高いものになっているのか。

広告としてはよくできてる。でもそれは、どこかのおじさんがUPした猫の動画より、人の気持ちを動かすのか。コンテンツ力が十分なのか。そういったことを常に忘れないことが大事なのだと、自らの肝に命じたいと思います。

連載も残すところあと3回。
次回は、バズの未来(仮)。AIとタッグを組み、いかにバズクリエイティブを進化させていくかについて、考察したいと思います。

栗林和明(TBWA\HAKUHODO Buzz Machine)
栗林和明(TBWA\HAKUHODO Buzz Machine)

1987年生まれ。上智大学経営学科卒業。専門は「バズ」。 話題の“量”、“質”、そして“精度”を高める。 過去100社以上のソーシャルメディアマーケティング、 インタラクティブプロモーション施策を担当し、直近2年で獲得映像再生数は8500万回超。主な担当作品は縦型スマホジャックMV「RUN and RUN」、日産自動車「Intelligent Parking Chair」「#猫バンバン」、オーストラリア政府観光局「GIGA Selfie」、AKB48「LOVE TRIP」MV、「COGY」ブランドムービー、サントリー「忍者女子高生」、など。 カンヌライオンズ Gold、BOVAオンライン動画コンテスト Grand Prix、メディア芸術祭審査員特別賞、電通賞最優秀賞、ACC Silverなど
https://www.facebook.com/kazuaki.kuribayashi

栗林和明(TBWA\HAKUHODO Buzz Machine)

1987年生まれ。上智大学経営学科卒業。専門は「バズ」。 話題の“量”、“質”、そして“精度”を高める。 過去100社以上のソーシャルメディアマーケティング、 インタラクティブプロモーション施策を担当し、直近2年で獲得映像再生数は8500万回超。主な担当作品は縦型スマホジャックMV「RUN and RUN」、日産自動車「Intelligent Parking Chair」「#猫バンバン」、オーストラリア政府観光局「GIGA Selfie」、AKB48「LOVE TRIP」MV、「COGY」ブランドムービー、サントリー「忍者女子高生」、など。 カンヌライオンズ Gold、BOVAオンライン動画コンテスト Grand Prix、メディア芸術祭審査員特別賞、電通賞最優秀賞、ACC Silverなど
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