基本に振り子が戻る年――『販促会議』編集長 小林圭輔

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『販促会議』最新号では、データを踏まえた仮説構築からプロモーション企画への落とし込みかたなどを60ページ超にわたって特集。

新年を迎えますと、「さて、ことしはどんな一年にしよう」と考えを巡らせるものですが、私などは「昨年はどんな一年にしたかったのだっけ」と思ってしまいます。

そこで、一年を思い出すよすがにちょっと見返したくなるのが、「新語・流行語大賞」であったり、「今年の漢字」であったりします。それぞれ見た方の反応も気にかかるのですが、どうも昨今は「本当にそんな言葉流行ったの?」「その漢字には違和感があるなあ」との声を聞くことが少なくありません。選ばれたものを思い出すのに時間がかかることも。

ある言葉・ある漢字で、世の中を十把一絡げにとらえることは、もう難しくなったのではないか。プロモーションの分野で言えば、顧客をひとつのキャッチフレーズ、ひとつのビジュアルでひきつけることは、きわめて難題と言うことです。

なにより2017年もいっそう増えるであろう訪日外国人客のことを思うと、そのハードルの高さが実感されます。

かといって、「One to One」のお題目を掲げ、個々の顧客によりそいたいと念じてみても、極端な話、100万人に100万通りの応対というのも現実的でないと思うのです。

結局、目の前のお客さんを頼りに、「じぶんたちの事業を支えている最も重要なものは何か」「提供できる顧客メリットは何か」とくりかえし問うほかないようです。なかなか胆力のいることで、数字だけを追うほうがよっぽど気楽かしれません。

しかし、数字だけに逃げ、表層的な手法におぼれた企業が業績を悪くしたのも、2016年の印象的な一幕ではありました。しんどいはしんどいですが、彼らと同じ轍を踏むわけにも参りません。

人工知能など技術の発展は、2017年も目覚ましいものとなりそうです。「人間」のほうは、テクノロジーの支援を受けて目の前のお客さんに貢献する、貢献できる顧客をできるだけ広げる。そんな基本を徹底した企業に光が当たる一年になるのではないでしょうか。

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