Q. 「データ・サイエンティスト」は今後も残る職業ですか?
A. 「残るタイプ」と「消えるタイプ」がありそうです。
—ストイックな見方、と思われることもありそうです。どうしてそう考えるようになったのですか。
原田氏:データ・サイエンティストが、より創造的な仕事としてとらえられるようにならなければ、この職業がコモディティ化してしまうという危機感を持っているからです。すでに、技術としてのデータ・サイエンスは、光の早さでコモディティ化しています。アルゴリズム(解法)が、日進月歩で最適化され続けているからです。
そんな現状認識を踏まえ、私は、「データ・サイエンス業務」のコモディティ化を受け入れたい、むしろ貢献したいと考えています。もし、「データ分析で、事業に貢献する人」を「データ・サイエンティスト」と表現するのであれば、各社に必ずデータ・サイエンティスト人材が存在することになります。この定義であれば、「気がついたら私はデータ・サイエンティストだった」という方もいらっしゃると思います。
いずれにしても、事業に対する責任感を持ち、事業に使うために数字を考えることはよいことです。いずれ、気象情報や交通情報のようなビッグデータと、自社の売上データをかけあわせて部署のパソコン画面で確認する、という光景は珍しくなくなるのではないでしょうか。
コモディティ化して困るのは、いわゆる“職人”系のデータ・サイエンティストです。先ほども言ったように、解法自体はどんどん発展して誰でもできるよう普及しつづけていくでしょう。職人としてのブラックボックスが開いてしまえば、その種の人たちは歩く道がなくなってしまうかもしれません。
ちょっと否定的にお話ししてしまいましたが、実際、コンソールを叩いて職人的にデータを探り、数値をいじって反応を見るのはとても楽しいものです。私も意欲を持って分析を仕事にしているので、データにのめり込む部分がないとは言えません。だからこそ、この楽しさにおぼれてはいけないな、と自戒しています。