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5Gとは第5世代移動通信システムの略で、現在の携帯電話を含む無線通信の企画である4GLTEの次に導入される次世代の無線通信システムのことです。先日、通信事業者4社の社長により、2017年は「5G」を見据えたと年になるとの年頭所感を耳にされたかたもいるのではないでしょうか?
5Gは、10Gbps以上の通信速度、1ミリ秒以下の遅延と高い信頼性を実現するとされ、IoTの本格的な普及やモバイル動画のさらなる発展に繋がる技術です。CES2017レポートの2回目は、米国の移動体通信技術及び半導体の大手企業であるQualcomm(クアルコム)キーノートより5Gの可能性についてレポートします。
5Gがつくる巨大な経済
Qualcomm CEOのSteve Mollenkopf氏は基調講演で、5Gによりデータが加速し全てが接続された未来について語りました。同氏は「5Gにより、デバイスはさらにスマートになり、信頼できる接続環境が提供でき、接続スピードの拡大が多くのチャンスをもたらすだろう」と話しました。
Qualcommの基調講演では、5Gのインパクトとして、①5Gは2030年までに世界中に展開される。②12兆ドルの経済効果が見込まれる。③インドと同程度の規模のGDPに貢献する……など。5Gの進展が経済に与えるインパクトの大きさについて、外部リサーチ会社の調査結果をもとに、発表されていました。これまでインターネットの接続スピード、モバイル革命など通信の大きな飛躍がもたらした経済効果の実績から考えると、Qualcommのこの予測は決して大げさな数字ではないでしょう。
動画体験の変化
Qualcommは基調講演で、動画視聴の体験の変化として2020年にはストリーミングビデオの70%がモバイルストリーミングになると予測しています。また4K動画の映画を18秒でダウンロード可能にするなど、モバイル動画環境を飛躍的に変化させる可能性についても触れていました。VR/ARが飛躍的に進展し、エンタテインメントのみならずカスタマーサービスやトレーニングの分野に至るまで需要な役割を果たすだろうと示唆しています。
Qualcommは基調講演の中で、スマートフォン向けの半導体であるSnapdragon 835を発表しました。技術的な詳細は、他のメディアに譲るとして、筆者が注目したのはAR/VRの機能強化です。スマートフォン向けチップであるSnapdragon 835が普及する、スマートフォンを活用して簡易に優れたAR/VRの提供環境が整う可能性があります。Qualcommは基調講演の中でVR企業との提携も発表しており、スマートフォンを通じた優れたVR/AR環境の普及は、企業の顧客体験設計において、注目しておくべき領域でしょう。
5Gがマーケティングに与える影響
中長期的に、5Gが普及するのは間違いのないことと言えます。そして5Gの普及はモバイルを通じて提供されるサービスの範囲をさらに拡張することになるでしょう。特に、モバイルを通じての映像体験の飛躍が見込まれると筆者は考えています。
すでに動画体験に占めるモバイルの割合はかなり高いものになっています。この体験が将来、4K映像をシームレスにモバイルに配信できる環境が整うことで、テレビ・PC・モバイルでの動画視聴態度のバランスに、さらなる影響を与えることが予想されます。
さらにVR/ARという新しい分野においても、5Gのもたらす新しい体験についても意識する必要があるでしょう。
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