Instagramのビジネス活用を拡大した立役者
—Instagramで、自身のキャリアをどのように生かせると考えたか。
子どもの頃から政治や公共政策に関心を持ち、情熱を傾けてきた。大学卒業後は財務省に勤め、当時の財務長官だったラリー・サマーズがハーバード大学の学長に就任するタイミングで同大のチーフ・オブ・スタッフに就任、2年ほど務めた。
その後、ビジネススクールに通い、修了後はオンライン決済サービスのスタートアップ企業を経験。その後、オバマ政権下で国家経済会議の主席補佐官を務めていたところ、Facebook COOのシェリル・サンドバーグ氏から連絡があり、Facebookのグローバル公共政策のポジションをオファーされ、同社に入社した。
やりがいのある毎日だったが、4年ほど経つと何か新しいチャレンジがしたいと思うようになり、Instagramに至った。
キャリア選択において考えてきたことは大きく2つ。
ひとつは、人々の暮らしや世の中をより良くしたいということ。また、それを実現する上ではどこで仕事をするのが一番いいのかということだ。若い頃は、政府から公共政策を通して広く世の中全体に働きかけることを志向したが、最近はテクノロジーを通じて人々の生活に貢献することが、より効果的なのではと考えるようになった。
2つ目は、ミッションドリブンな環境で仕事をしたいということ。Instagramの仲間も、世の中を良くするというミッションを掲げて日々の仕事に臨んでおり、刺激を受けている。
—Instagramで何がしたいと考えたのか。Instagramをどう変えたいと思ったのか。
私は2年前、Instagramの設立4年目のタイミングにCOOに就任した。2014年末時点で3億人だったユーザーは、2016年12月16日現在、6億人に達した。ユーザーの80%が米国外在住で、日本には1200万人のユーザーがいる。
私が入社した当時、Instagramはユーザーが写真を通して世の中を経験したり、自分のストーリーを語ったり、興味・関心のあるものを探したりといったことを可能にするプラットフォームで、広告メニューも存在しなかった。
しかし私は、Instagramに、大手企業から中小企業、個店に至るまで、さまざまなビジネスユーザーとつながっていける可能性を感じていた。人が興味を持って、何かを見つけたいと考え、能動的に閲覧するInstagramというプラットフォームを活用し、企業のビジネス成長を支援することに取り組んできた。
いまや、FacebookとInstagramを合わせて「1/5モバイルミニッツ」が消費されている(モバイル利用時間のうち20%はFacebookとInstagramを使用している)という調査データもある。広告メニューをはじめとするビジネスツールの開発には、お客さまと出会いたい・お客さまとつながりたいと考える企業やブランドに、Facebook・Instagramをより効果的・効率的に活用してもらえるようにとの考えで臨んでいる。
「ビジネスプロフィール」(ビジネス向けアカウント。投稿の運用効果を測定できる「Instagramインサイト」や、投稿を宣伝する機能「Instagram広告」が利用できるようになる)は、すでに150万以上のブランドが利用している。
Instagramは、特に中小規模の企業にとって非常に有用なプラットフォームだと感じている。ローカルビジネスが、既存顧客との関係性をより深めていくという使い方もできるし、グローバルに向けて情報・メッセージを発信し、ビジネスの対象を広げていくこともできる。いくつかの成功事例を紹介したい。