105年の歴史を凝縮して伝える
映像を制作した背景について、広報CSR室ブランド・広告課 堀智尋さんは、次のように話す。
「弊社はこれまで既存マス4媒体(テレビ・ラジオ・紙誌)を中心としたコミュニケーションを展開してきました。しかし昨今、“TVを見ない、クルマに乗らない”と言われるミレニアル世代やサービスステーションに行く機会の少ない女性に対して、出光ブランドを既存の手法だけで認知してもらえているのかという懸念がありました。創業105年の間に培ってきた出光ブランドに対する理解と共感をより得るためには、時間や場所からの制約を排した、より自由な表現を可能とするフォーマットの必要性を感じていました」。
企業として伝えていきたいポイントは、いくつかある。しかし、それをそのまま形にするだけでは、伝えるべきターゲットには届かない。そう考えたサイバーエージェント デジタルクリエイティブディレクター中橋敦さんたちは、オリエン時に聞いたポイントを独自に整理、編集。そこから、いまの出光ブランドにとって必要な企画を導きだし、提案したのが、「ブランドのアイデンティティを感じてもらえるストーリームービー」の制作だった。
その企画をつめていく中で、「The History of IDEMITSU」が生まれたのである。
ストーリームービーのクリエイティブコンセプトは、“手づくり感 ”。サイバーエージェント プランナー兼ディレクター 杉本卓さんは「出光興産について調べれば調べるほど、その歴史にはまさに戦後の日本の復興を支えた血と汗と涙が詰まっていると感じました。その濃密な内容を数分のムービーに落とし込むためには、濃密に時間がかかる表現にしたほうがいいと思いました」と話す。 “手づくり感 ”を表現すべく、「最も時間と労力をかけられる映像表現は何か?」という視点で突き詰め、辿りついた手法はペーパークラフトによるストップモーション・アニメーションだった。
「弊社にとってもペーパークラフトのコマ撮りは初の試みです。この方法では1日に数秒数分しか撮影できないことがわかっていたのでリスクのある選択でした。でも出光さんの歴史を振り返り、人のエネルギーが歴史を動かしてきたことを表現するためには、この手法しかない。逃げずに提案しようと覚悟を決めました」(杉本さん)。
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