紙と音楽と光によるノンバーバルな表現
ペーパークラフトによるストップモーション・アニメーションによる映像制作は、出光にとっても初めての試みとなる。「サイバーエージェントさんとは初めてお仕事をさせていただきましたが、弊社のことをよく研究していただき、よりよく伝えようとする意識が伝わってきました。弊社は石油精製をはじめとする巨大装置産業の面がありながらも、根幹には社員1人ひとりの技や熱い思いがあって成り立っています。膨大な労力をかけて、そこをペーパークラフトという形で表現してもらえるのは非常にありがたいこと。弊社にとっても新しい試みなので、これまで認知が届かなかった層にも届けられるのではないかという期待がありました」と振り返る。
制作チームが一丸となり、臨んだ結果、通常の3分の1くらいの期間で仕上げることができた。その制作過程はメイキングムービーとして公開されている。「人の手で1コマずつ撮影していく工程を、出光が乗り越えてきた時間軸に重ねて見てもらいたいと思いました。光の動かし方や紙の質感、厚みへのこだわりなども感じてもらえると思います」(サイバーエージェント アートディレクター 新美宏樹さん)。
この映像には最後のロゴ以外、言葉が一切出てこない。光と影、音楽と紙の造形物が織りなす世界で、見た人はそこに物語を感じることができる。これはオリエン時に「海外でのCM展開の可能性」の示唆があったことから、制作スタッフがノンバーバルな表現を目指したことによる。
そのため、紙の質感も和紙を感じさせるものを選び、海外の人が見たときに「日本発」であることが伝わることを意識。さらにネットでの拡散を狙い、どのコマでサムネイル画像を切り取られても “手づくり感 ”が伝わる、美しいカットになるように計算している。
完成後、同社社内からは自分達が大切にしているアイデンティティを斬新で、温かみのある素敵な表現で語ってもらえてうれしいという声が多数あったという。「インナーモチベーションのアップにも繋がり、出光が新しいことに挑戦していく会社であることを自分たちも再認識することができました。また、サイバーエージェントさんと仕事をさせていただき、今回のムービーにかける熱意や柔軟な発想は、私自身も今後の弊社の広告戦略に役立つ視点になると学ばせてもらいました」(堀さん)。
今回の制作を振り返って、中橋さんは「サイバーエージェントは若い会社なので、出光さんのような歴史のある会社と仕事をさせていただくケースはまだ多くありません。しかし、今後も老舗ブランドを若い世代に継承することが求められる仕事は増えていくと思います。今回のムービーでは歴史あるブランドを時代に合った表現で伝えることができたので、大きな自信になりました」と話す。
現在、この映像は出光興産のWebサイトやYouTube公式チャンネルのほか、本社受付でも上映されており、多くの来客の目をひくコンテンツになっている。
スタッフリスト
- 企画制作
- サイバーエージェント+たき工房
- デジタルクリエイティブディレクター
- 中橋敦
- AD
- 新美宏樹
- 企画+ディレクター
- 杉本卓
- 監督+脚本
- ワタナベサオリ
- 撮影+編集+アニメーター
- 稲積君将
- アニメーター
- 井上二美
- 照明
- 川口卓宏
- アニメーションプロデューサー
- 高橋徹
- ペーパークラフト
- 水谷陽一、竹内望
- レーザーカット
- 鴻野貴志、野口智未
- BGM
- 佐々木恒平
- SE
- 増子和人
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サイバーエージェント
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