根本には「利益至上主義」がある
この経済人会議は、フィリップ・コトラー教授を広島に迎える形で開催された国際会議でした。そのプログラムの一つに、慈眼寺の住職である塩沼亮潤大阿闍梨と、東京大学の鈴木寛教授、そしてMistletoe社の孫泰蔵社長が一同に介するという非常にユニークなセッションがありました。
この議論のメインテーマは「平和に貢献するソフトパワー・ビジネス」です。非常に大きなテーマで、このコラムの趣旨とは全く関係ないのですが、議論の過程で非常に印象に残ったのが、「今の資本主義は行き過ぎてしまっているのではないか。ボラティリティが高まってるし、利益至上主義になってる面も強い」という孫社長の問題提起でした。
実は、DeNAやネットメディアを巡る騒動も、突き詰めると「利益至上主義」という言葉にまとめられるように感じます。
本来、メディアという存在は読者と出来事をつなげることで、読者に笑顔や知識、感動をもたらすなどの何らかの理念や問題意識を元に立ち上げられているはずです。しかし一連のDeNA騒動を見ている限り、DeNA経営陣のメディア立ち上げにおける意識はいかに低コストに大量の記事を量産するかのみに割かれていたように見え、そこにはいかに効率的に利益を獲得するかという思想しか感じ取れませんでした。
これは現在の日本の資本主義全体の問題ではありますが、その影響を強く受けているネットメディアの問題と狭く定義することも可能です。
ただここで私たちが真剣に考えなければいけないのは、アドネットワークで無自覚にそういった利益至上主義のメディアに広告を出向している広告主、広告の出稿を提案している広告会社や我々サプライヤーも、同様に利益至上主義になっているのではないか、という点だと感じます。
では、我々はどう変わっていけばよいのでしょうか?