CMは人と「同じこと」と「違うこと」を考える能力で作られる

テレビCM~課題篇~

テレビCMをテーマにした課題制作の1回目の講師は、電通の阿部光史さんが担当されました。課題は、「ある人気アルコール飲料の新しいCM」を考えるというものでした。オリエンシートに「新しいキャンペーンを考えてください」と書かれていたのですが…僕はそれをうっかり読み飛ばしてCM案を書いちゃいました!

キャンペーンCMとは同じメインキャストで同じ世界観を受け継ぎ何作も続いていく、連作もののことを指します。要は1回限りのアイデアではキャンペーンになりえません。それなのに僕は1回しかできないものを書いてしまいました。アホですね~。

ただ、僕と同じ過ちをした受講者も意外に多く、読むと面白いCMなのに「シリーズにはならないよな~」と思うともったいなく感じました。そもそもの課題をちゃんと理解してないと、案は良くても企画は通りません。課題の紙をちゃんと読むという、人としての基本を今さらながら学びました!

あと、阿部さんの講座で印象に残ったのが、CMの面白さの秘密は「記憶の弦を鳴らす」ことだと語っていたことです。それがどういう意味かは僕のノートに書いてあるのですが…例によって気になる方はコピーライター養成講座を受講してください。「記憶の弦を鳴らす」、素敵なフレーズですね。多分、音楽をやっていたのではないでしょうか。

さて課題制作の第2回目の講師は、電通の東畑幸多さんです。課題は「ある不動のインスタント食品の新しいCMを作る」というものでした。

課題用に2枚用紙が配られました。1枚は「その商品の魅力・セールスポイントを10個書く。そのうちターゲットに一番響きそうだと思ったもの1つに赤丸をつける」というもの。それをもとに、もう1枚の用紙に絵コンテを書きました。

超生意気ですけど、「これは良い方法だな~」と思いました。制作者が何を伝えたくてどう表現したいのかコントロールしやすいし、それがどれくらい達成できたのかという評価軸も見えやすいからです。

東畑さんの課題講評は、受講者のCM案の良い点と悪い点を指摘した後、類似した世界各国のCMを参考例で見せてくれました。これにより自分のアイデアの延長線上にはどんなものがあるのか、自分に足りなかったのはどういう所か分かりやすく学べました。

僕が書いたCM案を例に出します。課題であるインスタント食品の魅力を「忙しくて時間がない時に重宝する」と設定し、絵コンテでは「スーツ姿の男女がそれぞれ仕事をしながらマラソンをする」という、忙しさの競争をシチュエーションとして描いたものでした。

東畑さんは僕のCM案の中で主人公の不在を指摘されました。群衆を同格にしてしまうと観ている人への求心力が弱くなり、この主人公がどうなるのかという興味や共感をもって見られないという講評を受けました。そして参考例として、池松壮亮さん主演のリクルートのCM「すべての人生が、すばらしい」、競輪「勝利とは、何だ」シリーズ、Xboxの海外CM「Life is short. Play more.」を教えてくれました。特にXboxの比喩表現の大胆さには度肝抜かれました、何より笑えますし。

コピーライター養成講座はキャッチフレーズの課題提出の方が多いですが(コピーライターの養成なんだから当たりまえですが)、自分はCM制作の講座の方が楽しかったです。ちなみに、宣伝会議さんの講座には「CMプランナー講座」なるものもありますよ!

次回のコラムが最終回です!最終回は卒業制作となぜか『逃げ恥』について書きます!

今野和人(お笑い芸人/第53回宣伝会議賞グランプリ)

1984年12月7日生まれ。国際基督教大学教養学部人文科学科卒業。プロダクション人力舎の養成所「スクールJCA」で雨宮龍也・井村俊哉とともに、お笑いトリオ「シンブン」を結成。キングオブコント2011準決勝進出。第53回宣伝会議賞グランプリ受賞。現在、日本テレビ毎週月~金曜日『ZIP!』で放送中の『朝だよ!貝社員』の脚本に参加。https://twitter.com/thefly_konno

 


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宣伝会議 コピーライター養成講座事務局
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