トライバルメディアハウス 代表取締役社長
社会情報大学院大学 客員教員
池田紀行氏
ビジネスコンサルティングファーム、マーケティングコンサルタント、クチコミマーケティング研究所長などを経て、株式会社トライバルメディアハウスを創業、代表取締役社長に就任。キリン、P&G、トヨタ自動車、ヤマハ発動機などのソーシャルメディアマーケティングや熱狂ブランド戦略を支援する。日本マーケティング協会マーケティングマスターコース、宣伝会議講座講師。『次世代共創マーケティング』『ソーシャルインフルエンス』など著書、共著書多数。
トランプ大統領とTwitter-トップの暴走と組織のマネジメント
ドナルド・トランプ大統領が誕生した。
一級のビジネスマンが一国の主になり、政治の世界でどんな辣腕を振るうのか、全世界が注目している。
世界がトランプ大統領に注目する理由のひとつに、彼個人が保有するTwitterアカウントがある。2,000万人超のフォロワーを有し、その影響力は中小メディアを遥かに凌ぐ規模である。
歯に衣着せぬ発言はTwitterでも健在だ。「アメリカ国内で製造しなければメキシコ産のトヨタ車に高い関税をかけてやる!」と投稿し、日本の自動車メーカーの株価に大きな影響を与えたことは記憶に新しい。
これからも、トランプはTwitterをやめないだろうし、さらに自身の意見を(何の検閲も編集もない状態で、好きなときに、好きなだけ、ダイレクトに)2,000万人のフォロワーに届け続けるだろう。
それ自体が悪いことではない。一人ひとりがメディアになったソーシャルメディア時代は、政治の世界にも及んでいるのだ。
心配なのは、情報統制やリスクマネジメントである。企業に属するサラリーマンが個人でTwitterを使っている場合、プロフィールに「この発言は個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません」と表記している人がいるが、トランプ大統領の場合、それは通用しない。個人のアカウントであっても、公人としての発言として捉えられるからだ。
きっと、これからアメリカ合衆国大統領行政府(大統領直轄の組織)のスタッフは、「あ!またこんなこと言っちゃって…どうすんだよ…」とヤキモキし続ける4年間になるのだろう。
部下がTwitterで変な投稿をしていたら、上司は咎めることができる。しかし、問題なのは、上司や創業社長などがTwitterで大暴れしている場合だ。社内では「おい、誰が社長の首に鈴つけるんだよ…」となすり合いの戦いが勃発する。
企業であっても、国であっても、トップが個人のアカウントで暴走した場合、それを組織がどうマネジメントできるのか。そんなところにも注目していきたい。
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