バズる動画と売れる動画は、違うのか
鬼ムービー・根本:オンライン動画は、マーケティングやブランディングに貢献できると思いますか?
SIX・本山:オンライン動画ができることは3つあると思ってます。一つは、より深いエンゲージメント。仮にTrue View(YouTube広告)で流したとしても、見る・見ないの選択肢はユーザーに与えられているので、見る時は“見るぞという意志”があって見ていますよね。そこには深いエンゲージメントが生まれるはず。
二つ目は、グローバル。世界中に届けることができます。
最後は、アーカイブ。これが特に大事。動画をバズらせるっていうと、1週間や1カ月で結果を出さなきゃって考えがちですが、2年間に毎日10万回ずつ見られたら、すごい数になりますよね。その日、その瞬間、バズることだけがいいというわけじゃない。継続的に検索でひっかかって見られ続けるコンテンツつくることも、すごく大事なのかなと。テレビCMは流したら終わりだったけど、今はアーカイブできる。それってすごいブランド資産になりますよね。
読売広告社・皆川:僕も、オンライン動画は、ブランディングには貢献できると思うんですよね。でも、マーケティングに貢献できるか、つまり“売れる”かどうかは、商材によるかなと。オンライン動画って、スマートフォンで見ることが多いので、移動中も見てしまいますよね。コンビニにふらりと入った時、直前まで見ていた動画に登場した商品があったら、手に取る可能性は十分あると思います。そういった身近な商材やオンラインでそのまま購入できるようなものは、マーケティングにも貢献できると思っています。
鬼ムービー・根本:皆川さんが手がけた、明治「果汁グミ」の石原さとみさんが登場する、「ぷにぷにダンス」の動画は、まさに合致していますね。
読売広告社・皆川:お菓子って差異が少ないので、パッと見て3秒で買うって言われているらしいんです。そういう意味では、3秒前まで見ていたスマホの動画って、強いと思いますね。僕の中で疑問なのは、もっと高額な商材。車や住宅といったもののマーケティングにどれだけ貢献できるかっていうのは、自分は担当したことがないので知りたいですね。
鬼ムービー・根本:バズる動画と、売れる動画は、違うのでしょうか?
SIX・本山:バズる動画という大きいカテゴリがあったとしたら、その中に、売れる動画もあるんだと思う。広告目的でつくられたバイラル動画はたくさんあるけど、それが必ずしも売れる動画にはなっていない。本来は一緒であるべきだけどね。
TBWA\HAKUHODO・栗林:売れる動画って、その商品が動画のコンセプトのど真ん中にあると思います。商品がど真ん中にない場合、たとえバズっても売りにはつながらないですよね。そのあたりは使い分けだと思います。
でも、商品がど真ん中になくても、継続することでブランドメッセージを浮き彫りにして、マーケティングにつなげているケースもありますよね。例えば、レッドブル。活動として、エクストリームスポーツのスポンサーとして関連動画を膨大につくっていて、それを継続することで常に話題をつくり続けると同時に、ブランドメッセージを伝え続けている。結果、そのブランドの売り上げにもつながっているのではないかと思います。高額商材の場合、その動画がバズってもすぐに商品が売れるわけじゃないですよね。そういう場合は、長期的にブランドイメージを蓄積することを目的にしたほうがいいと思います。