話題になるのは偶然じゃなく、「想定どおり」
鬼ムービー・根本:クリエイティブに最初からPR視点を織り込んでいくために、どんな企画の進め方をしていますか?
読売広告社・皆川:話題のニュースって、一つのことからたくさんの受け取り方がある時に生まれますよね。それは、広告やプロモーションのコンテンツでも同じだと思うんです。サントリーC.C.レモンの動画「忍者女子高生」の例でいうと、世界中の人から好かれている「女子高生」と「忍者」をくっつけることで最初のアイデアが生まれましたが、そこからどんどん切り口を増やしていったんです。女子高生に注目する人もいれば、撮影地である熱海に注目する人も、パルクールに注目する人も、iPhoneで撮影していることに注目する人もいる。一つのコンテンツでも、切り口をたくさん用意しておくことで、話題に広がりが出ますよね。切り口を後から発見させて、話題を長く続けることもできますしね。
鬼ムービー・根本:話題が広がったり、継続したのは、偶然ではなかったということですね。
読売広告社・皆川:このメディアにはこういうふうに取り上げられるんじゃないかなっていう、事前の緻密な想定から切り口を考えていて、それを最初からクリエイティブに盛り込みましたね。いきなり切り口から考えると、ごちゃごちゃしてしまうので、一番大切なコアアイデアを最初に決めます。広告の場合は、それをどれだけシャープに表現できるかということをストイックにやり続けることだと思うけれど、オンライン動画の場合は、いったん固めたら、あとは散らかす。それを恐れずにやってみるという感じですね。
TBWA\HAKUHODO・栗林:僕は、大きく2つのことをやります。一つは、アドタイの連載でも紹介しているのですが、バズの構造やバズのツボにあてはまるかを常に考えることです。もう一つは、プレスリリースを打って、どうニュースになるか、どうシェアされるかっていうのをめちゃめちゃ細かく、いろんな人の気持ちになってリストアップしてみます。それがうまく浮かぶものはいけるし、浮かばないものは難しいですね。企画づくりは、最初にビッグアイデアを出すやり方はしません。小さいアイデアを世の中の反応を見て大きく育てたり、組み合わせから生まれると思っています。要は、クライアントの課題を解決できれば、つくり方は何でもいいなと思っているんです。