<座談会メンバー>
- 世界をも唸らせたNTTドコモ「3秒クッキング」シリーズなどを手がけた、川地哲史さん(博報堂)
- 『Pokémon Go』からBEAMSまで、幅広い分野のファンを魅了してやまない、本山敬一さん(SIX)
- 日本のお茶の間を席巻した、サントリーC.C.レモンの「松岡修造の元気応援SONG」を手がけた、皆川壮一郎さん(読売広告社)
- 直近の案件だけで合計1億再生以上を叩き出した、アドタイの連載「ALL YOU NEED IS BUZZ」でもお馴染みの、栗林和明さん(TBWA\HAKUHODO)
- Panasonicの「LOVE THERMO」「LOVE DRESS」「LOVE DISH」3部作、大塚製薬の「ポカリガチダンス選手権」などを担当した、眞鍋亮平(電通 鬼ムービーのクリエイティブ・ディレクター)
- クリスマスイブの夜を沸かせた、ドワンゴの「#クリスマスは年賀状書くから忙しい」など、メディアを巻き込むプランニングを得意とする、鹿間天平(電通 鬼ムービーのメディア・プランナー)
- 小林市「ンダモシタン小林」や日清食品「INSTANT BUZZ」など、数々のヒット動画のPRプランニングをした、根本陽平(電通パブリックリレーションズ 鬼ムービーのPRプランナー)
プレゼン時に、オンライン動画のKPIを「約束」できるか
鬼ムービー・眞鍋:鬼ムービーのクリエイティブ・ディレクター、眞鍋です。オンライン動画って、もはやKPI抜きに語れないと思うのですが、プレゼンの段階でクライアントにどこまで「約束」していますか?
TBWA\HAKUHODO・栗林:目的によるのですが、再生回数の場合も、シェア数の場合も、PVの場合もあります。KPIはケースによって変えていますね。僕の場合、バズらせることについては、プレゼン時にわりと明確に言及しています。約束というか、ここを目標に頑張りますって言いますね。でももちろん、予測が外れることもあるんで、その時はすみませんって正直に言いながら(笑)。
読売広告社・皆川:最近は、量より質を求めるクライアントが増えてきていて、たくさんのメディアに出ることよりも、意図した切り口や押し出したい側面が出たか、というKPIを求められるケースがありますね。もちろん、そういう視点を持つことはいいとは思うのですが、PRは生モノなので、同じクリエイティブでもその時の世の中の状況によって、文脈や広がり方が変わってくることは多々あります。それも忘れないでほしいですね。
SIX・本山:100万回再生でも1000万でも、約束しろって言うなら約束します。頑張りますって意味ですけど。でも少なくとも、その動画を生活者が見終わった時に「さすがだね」って言われるところまでは約束します。例えばBEAMSなら「さすがBEAMS」みたいに、見た人からのブランドに対するポジティブな感想や称賛がネットにあふれるということです。見た人の数が多いか少ないかは、頑張りますとしか言いようがないけれど、見終わったら必ず、「さすが」、とは言わせます。
博報堂・川地:僕は最近、オンライン動画単体でつくることがあまりないので、その手前の話になるんですが、今のWEB動画やプロモーションには、マス主導型とWEBCM型と、バズ動画型の3つがあると思っています。マス主導型は、予算がそれなりにあって、マスプロモーションと掛け算してやっているもの。WEBCM型は、WEBメディアを体系的に活用して、ターゲットにリーチするように設計したもの。バズ動画型は、メディアを体系的に買う予算はなくて、動画単体で勝負しないといけないもの。KPIでいうと、マス主導型とWEBCM型は、“売り上げ”ですよね。どうやって、人やモノを動かすか、という視点でメディアプランも含めて提案していますからね。動画単体のKPIは、今でも設定が難しいなと思っています。
鬼ムービー・眞鍋:“売り上げ”まで明確に踏み込むこともあるんですか?
博報堂・川地:理想はそうですね。ある飲料のキャンペーンを手がけた時は、予算はある程度あったのですが、マスを体系的に活用するにはしんどい金額でした。そこで、その予算を思いきって全部WEBCMに振って、年間の販売計画を立てました。売り上げをいくら上げるかということを具体的に約束することはしていませんでしたが、結果は出しましたね。
TBWA\HAKUHODO・栗林:プランニングの段階で、動画の拡散見込みと売り上げの相関をきれいに計算できたらいいなと思うんですけど、なかなか難しいんですよね。