プレゼンに何案持っていくか。10案か、1案か。
鬼ムービー・眞鍋:企画提案の際は、何案持っていきますか?
博報堂・川地:僕の場合はケース・バイ・ケースで、いっぱい持っていく時もあれば、そうでない時もあるけど、基本は3案程度です。やりたい案しか持っていかないですね。
TBWA\HAKUHODO・栗林:僕の場合、一番多いパターンは2回プレゼンで、1回目の時は、10案持っていきます。相手が何を一番したいのかを浮き彫りにするための議論用です。で、2回目に1案というのが多いですね。
読売広告社・皆川:10案?! 競合プレゼンの場合はどうしてるの?
TBWA\HAKUHODO・栗林:僕の場合、競合が少なくて。ちょっと苦手というのもあります。
鬼ムービー・鹿間:自分から望んで競合には参加しないってことですね。
SIX・本山:競合が大好きで、そればっかり参加したい! みたいな人ってあまりいないんじゃないですか?(笑)
先方からいっぱい持ってきて、って言われたらいっぱい持っていきますけど、1案か2案ですね。そのほうが決まりやすく、多い時の方が決まらないですね。かつて博報堂で、“当ての案”、つまり“正解を無難に当てにいくようなアイデア”を考えていったほうがいいのではと言ったら、「勝率が高いとしても、相手に合わせにいくクリエイティブ・ディレクターは無能だ」ってツッコまれたことがあります(笑)。自分としては、“クリエイターがやりたい案=あるべき案”だと思っているので、この企業はこういうことをやるべきだって信じているんだったら、それでいい。多く出す必要はないと思う。
鬼ムービー・根本:信じている案って、そんなにたくさんないってことなんでしょうか?
SIX・本山:その企業をちゃんと見つめて考えていたら、そんなに選択肢はないと思うんですよね。かつ、世の中にちゃんと刺さる企画って少ないと思う。栗林くんみたいに、世の中ではやっているものから逆算して考えたらたくさんあるかもしれないけど、ブランドから逆算していったら、そんなに幅は無いと思う。ブランドと全然関係のないアイデアを持っていってもしかたないのかな、と。
読売広告社・皆川:僕も1~2案が多いですね。営業だった時代もあるんで、相手に合わせたい気持ちはあるんですけど、向こうに合わせて本質的じゃないことを言って、もし失敗したら誰も幸せにならないですよね。かつて、博報堂ケトルの嶋浩一郎さんに「本質は言い続けることでしか、解決できないから、とにかく責任持てない案は出すべきではありません」って言われたことがあって、本質を言い続けるという意味では1案を出すのがいいと思います。でも、いろいろ考えると2案持っていくことが多いですかね。だとしても、どっちに決まってもいいと思っている案しか持っていかないようにしています。