動画プラスαが、予算拡大のカギ
鬼ムービー・眞鍋:最後に、オンライン動画で利益を出せていますか、という話を聞かせてください。
博報堂・川地:ブランド全体を預かって、テレビCMもWEBも手掛ける時は、利益になっていますね。でもWEB単体で切り取ってみると、費用対効果ってどうしても悪くなります。それだけをやり続けると、我々代理店も、制作会社も疲弊しますよね。なので、オンライン動画を置くところを考えるとか、WEBをメディアとしてきちんと考える提案などを心がけていますね。
TBWA\HAKUHODO・栗林:僕の場合も、オンライン動画単体だと成り立たないですが、総合的に見れば成り立ってますね。でも、オンライン動画単体で話題になると、クライアントからの期待値も上がるし、自分自身も評価いただける。何よりデータがたまるので、次のプレゼンに生きるんですよね。なので、小さい案件でもちゃんと成果を残し、それから大きい案件を受けて、総合的にカバーしています。そのためにも、これからは費用対効果を「売り上げ」で証明しないとダメだなと思っています。1億円かけてこれをつくれば、クライアントは3億円儲かる、みたいな。そういうプレゼンにしていきたいですね。
読売広告社・皆川:僕も赤字にはなってないですけど、単体で超儲かってるっていうのはないですね(笑)。最近では、最初に動画の仕事がうまくいったら、次は追加の相談もきて、だんだん仕事が大きくなっていますね。予算もそういうほうが引き出しやすいと思います。業界のためには、オンライン動画の予算そのものの規模を大きくしたほうがいいと思うんですけど、現実的には難しい。「動画でもう少し予算を使いたい」といっても、クライアントもなかなか追加で出しにくいと思うんです。でも、動画に関連する店頭キャンペーンや、ニュースで露出するためのリアル施策など、プラスα提案の予算はクライアントに通りやすい気がしますね。結果的には、それが動画の可能性を広げると思うんです。
SIX・本山:このアイデアが、ブランドに十分寄与するってことをきちんと説得できれば、いくらでもクライアントに予算をつけてもらえると思う。とはいえ、栗林くんの連載にもあったけど、低予算だからこそ、バズらせたいみたいな話もあります。「オンライン動画を1本つくるお金しかないんだけど、なんとか仕掛けたい」みたいな相談ですよね。そういうのは、若いクリエイターからみればチャンスなので、やってみていいと思います。でも、仕事として成り立たせるには、最初の仕切りが大切。何億っていう予算がある広告と、全フロー同じにはできないです。制作会社も含めて不幸になります。なので、そういう場合は、案を決定した後、編集権はこちらにあるとか、自由を確保するために最初に話し合いが必要ですよね。