松本泰輔(まつもと・たいすけ)
Coast to Coast Marketing Services代表。
AEとして約10年広告代理店勤務 後、1995年渡米。大学院卒業後、ニューヨークの 広告代理店にて通信・金融・食品会社などを担当し、 2005年独立。アメリカ東海岸を拠点にマーケティング、ジャーナリズム分野にて幅広く活動。2011 年、宣伝会議より『フェイスブックインパクト』を共著にて発表。
全米メディア費を調査する会社Standard Media Index(SMI、本社ニューヨーク)は1月24日、2016年米国メディア総支出は前年対比6.8%増だったと発表した。また、年間の需要期にあたる12月は前年同月比0.7%増、第四四半期(10-12月)は4.3%増といずれも全体の伸びより低く、通常は好景気になるとされる五輪と大統領選の年の成長率が予想より低かったと分析した。
SMIは自社でトラックしている全米の70%のメディア支出額を基にしたリサーチ結果を毎月、発表している。カテゴリー別ではデジタルが13.3%増と最大の伸びを示しているが、2014-2015年の50%増に比べると成長率は大きく減衰した。またフェイスブックとグーグルを除くデジタルカテゴリの成長率は8.7%にとどまり、二強が依然業界を大きく支配していることが明白になった。フェイスブックは特にモバイルが83%増と好調を維持したほか、スナップチャットは356%増と非常に大きな伸びを示している。
デジタル部門の第四四半期が7.1%増と年成長率より低かったのは、同時期にテレコミュニケーション産業が23.4%減、百貨店・小売業が7.8%減とそれぞれデジタル広告費を削減したことが要因であると分析。SMIのCEOジェームス・フェネシー氏は「小売・テレコム・家電産業はデジタルから期待したほどの成果が得られず、過去数十年間信頼していたメディア(テレビ)に予算を戻した」と述べた。
テレビは地上波が4.6%増、ケーブルが4.0%増、全体で4.4%増に。ジャンル別ではリオ五輪の影響でスポーツが16%増、大統領選の報道でニュースが14.1%増と躍進したが、エンターテインメントのみ1.8%減とマイナス成長。ネットワーク別ではリオ五輪独占放映権を持つNBCが20%増となったほか、CBSは3.2%増、ABCは2.2%減、FOXは4.6%減となった。
このほか雑誌が9.1%減、新聞13.9%減、ラジオ0.5%減、屋外広告(OOH)6.9%増となっている。