広告業界のイチローが見ている先は【後編】

AIが良くなることで人の仕事がなくなる、ということではない。

イナモト:最近個人的に気にしている言葉がE.I (Extended intelligence)、これはMITメディア・ラボ所長の伊藤穰一さんが唱えている言葉で、「人間を無くす、置き換えるAI」ではなくて、「人間のインテリジェンスをExtend、つまり拡張するAI」。人間でしかできなことと、機械でしかできないことを組み合わせることで新しいことができるようになるっていう考え方です。

子供と年配の方が道路を渡っていて、運転していてどうしても避けられないときに自動運転のAIはどっちを避けるか、これはモラルの問題でどっちが正しいわけではない。そういうモラルや哲学が絡んだ判断をしなければならないときに、マシーンだけに頼るのは危険です。だからExtended Intelligenceというアイデアが唱えられてる。

これはモラルだけに限った話ではなくて、例えばカスタマーサポートにしても、人間だけが答えているのと機械だけが答えているのよりは、人間と機械がお互いに新しい答えを見つけてあげる方が、最終的にユーザーにとってはより良い体験になるんじゃないか。そういうことを気にしています。

川島:僕も働いている会社がAIにものすごく力を入れていることもあり、この分野は普段からよく考えています。メディアではAIがトピックに上がると、ほとんどが「AIが人間を置き換わる」とか、その辺の表面的なことがネタの中心で、あまり深い議論が語られていない印象です。置き換わるとかそういうことではなくて、AIはあらゆる体験をさらに良くしてくれる、高めてくれる技術だと思います。

イナモト:そうだよね。特に去年はBuzz wordになったからね。AIが良くなることで人の仕事がなくなる、っていうことではないよね。

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川島 高(アートディレクター)
川島 高(アートディレクター)

1981年生まれ。慶應義塾大学卒業後、2004年に渡米。文化庁が主催する新進芸術家海外研修員として、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) にてメディアアート修士課程修了。アーティストとして作家活動を行う傍ら、アートディレクターとしてAKQAなどの広告代理店にて活動。日本人として初めてGoogleのクリエイティブラボに参画。サンフランシスコ在住。

Facebook: https://www.facebook.com/takashi.kawashima
Twitter: https://twitter.com/kawashima_san

川島 高(アートディレクター)

1981年生まれ。慶應義塾大学卒業後、2004年に渡米。文化庁が主催する新進芸術家海外研修員として、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) にてメディアアート修士課程修了。アーティストとして作家活動を行う傍ら、アートディレクターとしてAKQAなどの広告代理店にて活動。日本人として初めてGoogleのクリエイティブラボに参画。サンフランシスコ在住。

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