急成長するインフィード広告
—スマートフォンの普及によって、「インフィード広告」の重要性が増しています。現在どのような取り組みをされているのでしょうか。
福島:これまでインターネット広告といえば、バナー広告と検索連動型広告が中心でしたが、ユーザーがスマートフォンにシフトする中で、インフィード広告が中心的な存在のひとつになりつつあると感じています。
私たち博報堂DYデジタルも昨年、インフィード広告領域を強化し、制作から運用までをワンストップで提供できる体制にしました。昨年対比で見ても出稿額は200%、出稿社数は250%と非常に高い成長率を誇っています。
矢吹:ヤフーでも非常に伸びています。インフィード広告がスタートした2015年5月から広告主数は右肩上がりに推移し、現在も順調に増加しています。配信面も拡大しており、トップページだけでなく、Yahoo!ニュース、スポーツナビ、Yahoo!知恵袋といった各種サービスや、タブレット版Yahoo! JAPANアプリにも展開を始めました。
—インフィード広告は急成長しているのですね。広告主企業は、インフィード広告に何を期待しているのでしょうか。
福島:インフィード広告の開始当初は、ダイレクトレスポンスのオーダーがメインで「獲得」を期待されることが多かったのですが 、現在は認知、メッセージ理解、好意度形成といった「ブランディング効果」を期待されることも増えてきました。
野首:その背景として、バナーブラインドネス※という問題もあると思います。WEB上の広告が無視されやすい現状において、広告をきちんと見てもらえるためにどうすればいいのか、どれだけ商品の価値を伝えられるのか。そういった「見てもらえること」自体に価値を置く広告主が増えてきたと感じています。
“新たなブランディングの手法”として期待
谷内:こういったブランディングへの取り組みを評価するために、昨年博報堂DYデジタルさまと共同で、インフィード広告の「ブランドリフト調査」を行いました。
調査では、Yahoo! JAPANのトップページに掲載されたインフィード広告のうち、3社のインフィード広告を対象に、広告接触者と非接触者(広告を見たか/見ないか)で比較をしました。 すると、接触者の「助成想起」や「メッセージ理解」、「好感度」などがリフトしていました。
矢吹:ユーザーはコンテンツと同じように、インフィード広告のクリエイティブを見てそのメッセージをしっかりと理解しているのではないでしょうか。
インフィードは従来の広告枠に比べて、より“見てもらえる”フォーマットだと思います。コンテンツに馴染んで自然と目に入るので、情報として受け入れてもらいやすく、これまで広告に反応していなかったユーザーにも届けることができたのではと思っています
谷内:コンテンツに溶け込むという特性上、ユーザーにストレスなく情報摂取されているのは分かっていたものの、ユーザーがどういう受け止め方をしているかまでは掴めていませんでした。今回の結果で良い受け止め方がされていることがわかったのは、今後にも繋がる良い気づきでした。
嶋田:運用サイドから見ても、広告が無視されると言われている時代に「見せるだけ」で「メッセージ理解」につながること、また「好き(好感度)」という項目が上がるのは、朗報でした。コンテンツに溶け込むインフィード広告の特長が、数字として顕在化されたのだと思います。また、Yahoo! JAPANトップページという媒体としての価値もいい影響を与えていると思っています。
—インフィード広告によって、これだけブランドに関連した数値が高まったのは、なぜでしょうか。
矢吹:インフィード形式とはいえ、コンテンツの間に無機質に差し込むだけでは、単なる異物で邪魔なものになってしまいます。Yahoo! JAPANおよびYahoo! JAPANアプリのトップをはじめとしたタイムライン面においては、広告とコンテンツの両方の影響を鑑みてページ全体を設計しているため、広告が異物ではなく”情報”としてしっかりと伝達できているのではないでしょうか。
—インフィード広告は“ブランディング”にも活用できるのですね。
福島:そうですね。まさに「見せること」自体に価値のある媒体・フォーマットだと実感しています。ダイレクトレスポンスでは、購買の後押しとして活用されることが多いですが、クリエイティブや運用次第で、ファネル上位のブランドへの好意度形成・理解促進まで深度の深いブランディングを行うことが出来るのではないかと思います。
このように、広告を情報として摂取してもらえるインフィード形式には、新たなブランディングの手法 として期待しています。また、“見てもらえる”広告づくりのために運用・クリエイティブなどの面でも、既に様々な取り組みを行っています。
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