「1984年」再来。テクノロジーによって蘇るディストピア世界でのマーケティング

「正しさ」とは何かを明確にする透明性

世の中がテクノロジーによって便利で安価にモノや情報が手に入るようになった反面、自らにとっての正しさを吟味するコストが増大していくのは皮肉なものです。

人々がこぞって共有したくなるような感動話や裏話、ゴシップをフェイクニュースとして安易に発信する手段としてデジタルプラットフォームや検索が悪用されるのは見過ごせない事実です。そして、それを防ぐのも増大させるのも含めて、テクノロジーも同様に進化しています。

「正しさ」とは、そういう意味で誰もが自身で判断できるような透明性が前提です。これからのマーケターは自らの価値観をメッセージするだけではなく、自らの行動や意志について情報の透明性を持つことが重要になっていくでしょう。

ブランドが「政治的に正しい」という意味は公正で偏見がないというよりも、「何を大事にしているかを自覚すること」になると言えます。それはもしかしたら一部の人々にとってはブランドから離れる理由になるかもしれませんが、自らのファンにもっと近づいてもらうためにも必須になるはずです。

ディストピア小説における典型的な未来の世界は、表面的には素晴らしく美しくみえていても、嘘か欺瞞で真実を隠すことで成り立っているものです。わたしたちの未来はそのような暗い嘘によって決まるのではありません。真摯な透明性を持つことで、自由を確保することがますます求められるようになるでしょう。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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