Brandon Hill
Founder & CEO, btrax, Inc.
San Francisco State University 工業デザイン学科卒業。日米の企業に対してブランディング、マーケティング、コンサルティング業務を提供。グローバル市場向けのデジタルマーケティングやソーシャルメディアに精通。新事業創造カンファレンス基調講演、経済産業省 始動プロジェクト公式メンター、サンフランシスコ市政府アドバイザー、Dream Gate Awardアドバイザー。
プロダクトからサービスへの変換期が訪れている現代であるが、その背景にはミレニアル世代が求めるライフスタイルが大きく起因していると考えられる。ミレニアル世代とは、1980年-2004年頃に生まれた世代をさす。彼らは生まれた時から、家庭でパソコンやインターネットに触れているケースが多く、デジタルネイティブとも呼ばれる。特にアメリカでは人口の4分の1を占めるこの世代が生み出す市場に大きな注目が集まっている。
FacebookやTwitter、Instagramなどのソーシャルメディアの流行りの火付け役もこの世代であり、最近話題のシェアリングエコノミーを活用したライフスタイルなど、新しい価値観が世の中で求められるプロダクトへの影響を及ぼしていると言える。
ミレニアル世代が重要視するのは”モノより体験”である。高級な製品よりも、より良い体験を生み出すサービスへの関心が高い。また家や車などと言った高額なステータスシンボルへの執着心が低いのも特徴。モノに対する所有欲が薄く、UberやAirbnbなどに代表されるシェアリングエコノミー系のサービスを最大活用することで、”持たないライフスタイル”を楽しんでいる人々も少なくはない。
中には流行に流されないライフスタイルを重要視する”クリエイティブエリート”と呼ばれるタイプの人々もいる。彼らの特徴を端的に表すキーワードは”ミニマリズム”であり、余計なものを所有せずに住む場所や特定の仕事に縛られない自由なライフスタイルと身軽な生活が特徴。
このような消費者に響くのは、やはりプロダクトではなく、サービス。オンラインサービスやモバイルアプリを活用することで、車や家を必要な時にだけ利用し、多くを所有せずとも快適な生活を送っている。こうなってくると、企業としてもこれまでのようなタイプの製品と売り方では全く響かなくなってしまう。
これがプロダクトのサービス化をどんどん加速しており、もうしばらくするともしかしたら何かを所有するという概念自体が時代遅れになる可能性も少なくはないだろう。