『この世界の片隅に』片渕監督、『シン・ゴジラ』樋口監督が特別対談<eAT2017 in KANAZAWA Powered by TOHOKUSHINSHAレポート>

「キテレツ」な座右の銘は?

小西:「eAT2017 in KANAZAWA」のテーマは、「会いにキテレツ。見にキテレツ」なんですが、ここはキテレツだと言われるようなやり切ったことは?

片渕:『この世界の片隅に』は、「戦争中の世界って、どんな世界なのか自分で体験したい」というのが一つの出発点なんです。そこでNHKのラジオの歴史をはじめ思いっきり広い範囲で当時の生活について調べているんです。でも、そのことは画面には全然でてこない。

小西:そこまでやることの意義は?

片渕:すずさんとか、すずさんの周りの人たちを本当にいる人のように感じたかったというのが大きいです。水面下でいろんなことやらないと、水面より上のことは形にならないかもしれない。

小西:樋口さんはいかがでしょうか?

樋口:「いないものをいるかのように撮る」っていう経験は楽しかったですね。『ゴジラ』によって霞が関で何が起きるのか、法律でどうやって方針が定まっていくかは調べれば決まっていくんです。ただ映画でひとつ自由なのはゴジラがどこを歩くか。どこから現れて、どこへ行くか。それは俺の自由だ(笑)。

小西:僕の今の家の近くを踏み潰していったのは、樋口さんだってことですね。

樋口:あれは総監督の庵野さんが住んでいた場所という理由もありますよ。あと最初に蒲田にゴジラが現れるのは俺がよく行く飲み屋が多くて、この街いいなって思っていたからという理由もあります。蒲田はちょっと古い昔の昭和の東京を思いださせる街だったので。

片渕:『この世界の片隅に』も広島県呉市の物語でしょ。舞台挨拶した後にお客さんとサイン会で話すと、必ず一人以上は呉の出身者がいるんです。具体的な地名を出すと、絶対に誰かがひっかかる。自分に近い、縁があるという映画になっていくんですね。

小西:最後に「キテレツ」な座右の銘を教えてください。

樋口:「腰は低く、押しは強く。」

片渕:「これでいいのだ」。われわれの仕事に他に何がありましょう。

小西:これらの言葉で今回のトークが締まるのも、すごくいいですね。お二方、ありがとうございました。

eAT2017 in KANAZAWA 魅力的なセッション

「eAT2017 in KANAZAWA Powered by TOHOKUSHINSHA」では、さまざまなセッションが行われた。登壇者の”キテレツ”なトークに会場は笑いと熱気に包まれ、昨年を上回る613人が来場した。eAT2017のWebサイトでは開催レポートが掲載されている。

「ビジネスとキテレツアート&コトバ」 宮田人司・孫泰蔵・菊川裕也・北出斎太郎

「東京とキテレツ」 菅野薫・児玉裕一

「漫画とキテレツアート&コトバ」 倉本美津留・浦沢直樹

「音楽とキテレツアート&コトバ」 川井憲次・土佐信道

「若手アーティストとキテレツアート&コトバ」 山口裕美・徳井直生・高橋裕士・田崎佑樹

「わたしのキテレツランキング」 秋山具義・渋谷慶一郎

eAT実行委員長 中島信也氏 総括

1998年の第2回開催よりeATに携わり続け、eAT実行委員長を務める東北新社取締役の中島信也氏は「これからもクリエイティブでは人のつながりが何よりも大切、これらの対談も人のつながりを大切にしてるから実現した」とイベントを総括した。



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「eAT2017 in KANAZAWA Powered by TOHOKUSHINSHA 」
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