真の顧客なのか悪意あるクレーマーなのか
今後、こうした顧客の声とクレーマーの悪意を見分ける重要性が企業において高まっていくのは間違いありませんが、仮に対応を間違えて騒動になってしまった後も、重要なのは「真の顧客の声を聞くこと」です。
まるか食品は確かにペヤング騒動の初動は間違ったことで、騒動の拡大を招いてしまいましたが、その後に全工場での生産自粛と販売休止を発表。10億円以上の投資を実施して生産ラインを作り替え、周囲がやり過ぎだと思うぐらいの見事な対応を実施しました。
異物混入騒動の過程で聞こえてきた、ファンの不安の声に本気で対応する姿勢を見せたことで、ペヤングの再発売時には品薄で手に入らないという社会現象になるほどの見事な復活劇を見せてくれたわけです。
2011年に騒動になったフジテレビの嫌韓騒動においても、一部の広告主に対して不買運動が展開されたことがありますが、業績には影響が出なかったという事例もあります。つまり、不買運動を展開している人たちは、そもそもその企業の顧客ではなかった、というわけです。
昨年騒動になった日清食品のおバカ大学のテレビCMにおいても、日清食品は一作目の「不倫や虚偽を擁護」という批判に対しては、CM中止と謝罪文を公開するという形で真摯に対応しつつも、あえておバカ大学の「いまだ!バカやろう!」というメッセージはそのまま維持してテレビCMのシリーズは継続しました。
結果的にカップヌードルファンから、さすが日清食品と称賛の声を集める結果となりました。日清食品が、自分たちの顧客からの批判と応援の両方の声に、ちゃんと耳を傾けていた証拠であると言えるでしょう。
ネットやソーシャルメディアの普及により、企業がクレームや批判にさらされやすい時代になっていることは間違いありません。ただ、だからこそクレーマーや悪意のある人々の声に惑わされるのではなく、自分たちの真の顧客の声を見極める力が重要になっていると感じます。