友人の依頼を受けて実際にやってみた
そんなことを考えている中で、友人から相談がありました。自分たちのやってることを世の中に伝えたいので記事を書いてくれないか。
なるほど、それはいいけど、記事をWebサイトに置くだけでは広まらないよ。そういうと、少しだけ予算もあるので展開についても相談したい。よっしゃ!というわけで試してみたことを説明します。
友人の会社はサティスファクトリー社という、環境課題へのソリューションを提供する事業者です。その中で、友人が担当しているのは環境教育。「eduCycle」という新しい取り組みが、東京都のモデル事業に選ばれたそうです。
そこで、まず彼らに取材したことを2回に分けて記事にします。“コンテンツ”ですね。それは彼らのサイト内に置く。そしてそこに誘導するネイティブ広告枠を利用します。CCIさんに相談して、outbrainとFacebook広告を、ささやかな予算を割り振って展開しました。図にすると、こんなことですね。
図だけだとわかりにくいので、記事コンテンツも見てもらいましょう。
→eduCycleエコクラフトパックPJページ内コラム
→eduCycleのFacebook広告用投稿動画
これらは“記事”ですが、私の仕事仲間であるBeeStaffの上田豪氏がアートディレクションし、写真はカメラマン中村博臣氏に撮ってもらっています。Facebook用の動画は二番工房の今井伸哉氏に編集してもらったもの。広告のプロが集まってネット用のコンテンツを作っています。
誘導の広告枠としてOutbrainを使っています。展開期間が過ぎたので掲載状態はもう見てもらえませんが、多様なニュースサイトで採用されている仕組みです。記事に強引に挿入されるのではなく、記事ページの下の方に配置されているので、記事を読み終わった時に「次は何を読もうかな」というタイミングで表示される。似た仕組みはいくつかありますが、効果は高いです。
私が試したこのやり方は、さっきの「コンテンツをディストリビュートする」の図の一部を具現化したわけです。頭の中で考えていた構造を実際にやってみるのは、小さな規模でも面白い作業でした。そして「問い合わせがたくさん来た」と喜んでもらえました。コンテンツがきちんとできていたからでもありますし、OutbrainやFacebook広告が効果的な仕組みだからでしょう。
そしてこの仕組みは、「ネイティブ広告ハンドブック2017」のP30(PDF)にあるこの図そのものでもあります。
わかります?ネイティブ広告は記事広告のネット版だと思われていますが、ずいぶん違うわけです。不快じゃない入り口をメディア上に配置するのが一番のポイントです。その上で、コンテンツに誘導する。コンテンツは何らか受け手の心に作用するものです。態度変容を起こすもの。無理やり商品を褒めるのが広告コンテンツじゃない。「へー、そうなんだ」「うわー、ステキだなあ」といった気持ちにさせるのが、コンテンツ。
これから、大なり小なりこうなります。広告は、コンテンツをディストリビュートする仕組みになる。重要なのは態度変容を促すコンテンツと、自然に接触する誘導枠。その全体像を構築するのがプランニングになります。
ファネルを構築する際に、テレビCMや交通広告も予算やターゲット次第で、もちろん組み合わせます。ただ中心はデジタルなんでしょう。というか、もうマス広告とネットと、という分類自体が無意味です。
うーん、長々と書いたわりにはあまり整理して書けなかった気がするなあ。補足はまた、追い追い書きますね。
境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)
1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Borer 」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書「拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―」。株式会社エム・データ顧問研究員としても活動中。お問合せや最新情報などはこちら