クライアント社内のハブの役割も担う
オンラインからオフラインまで、また認知から購買まで、カスタマージャーニー全体をチャネルニュートラルにカバーした今回のプロモーション。これを実現したのは、博報堂アイ・スタジオが2015年4月に立ち上げ、強化してきた、統合デジタルマーケティング部の体制だ。
クライアントのビジネス課題を踏まえて施策全体を設計するプロデューサー、すべてのコンテンツをUX/UI視点でディレクションするインタラクティブディレクター、各コンテンツのアートディレクター、システムを実装しイメージを形にするエンジニアやプログラマー、プロジェクト全体の進行管理やクライアント側との調整を担うプロジェクトマネージャー……戦略立案から実行までを担うことができる、またビジネスとクリエイティブの両面を兼ね備えたチーム編成となっている。
施策の結果を踏まえ、問題点があれば改善した上で、次の施策を実行する。PDCAを高速で回すことも、この体制ならば可能だ。
統合デジタルマーケティング部は、クライアントと非常に近い距離感で仕事を進めるのが特徴だ。「クライアントの要望を直接聞くことができると、それをアウトプットに反映しやすいのは確か。急な変更にも、よりスピーディーに対応することが可能です。営業チームの理解と、密な連携があってこその体制です」とプロダクションマネージャーの石島義士氏。
メルセデス社内で一連のキャンペーンに関わるのは、宣伝・広告部門やマーケティング部門だけではない。自動車ローンなどを扱う金融部門、アクセサリーパーツを扱うアフターサービス部門……例えば見積シミュレーションのリニューアル一つとっても、複数部門の要望をヒアリングした上で形にしていく必要があった。
「部門によって、目指すゴールやKGIは異なる。多部門と連携しながらキャンペーン全体をつくり上げていくには、クライアントと近い距離に入り要望を取りまとめるハブのような役割を担う必要があります」(石島氏)。
デジタルマーケティングには、クライアントのビジネス課題を解決することが求められていると、3人は口を揃える。
「Webサイト一つとっても、クライアントを深く理解しなければ、制作することが難しくなってきていると感じます。課題を発見し、解決に向けた道筋を考えるコンサルティング能力が、クリエイティブチームにも必要になってきています」。
クライアントの課題解決をゴールに据え、そのために必要な施策は何か、データをもとに、デジタル/リアルの垣根を取り払ってマルチタッチポイントでカスタマージャーニーを描き、実行までサポートする。
統合デジタルマーケティング部のこの姿勢は、博報堂アイ・スタジオの共通価値として浸透し、クライアントのビジネス課題解決に結びついている。
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