「ブランドとは、企業そのものだと思います」–そう話すフラクタの河野貴伸社長は、さまざまな業種・規模の企業のブランディングを支援する中で違和感を覚えることがあったという。
例えば、ブランドのコンセプトに沿ってつくり上げたはずのECサイトが、1年ほどの間にみるみる形を変え、2年経つ頃には跡形もなくなってしまうことがあった。
外部から強い力を加える“歯の矯正”のようなことをしても上手くいかない。組織自身にブランドを維持し、改良し、アップデートしていく文化が根づかない限りは、ブランディングは成功しない。ブランディングを成功させる上で最も重要なのは、それを進める「組織」だという確信を強めていったという。
「我々が担うべき役割は、ブランドというロケットを飛ばすためのブースターのようなものと思っています。『全部、フラクタにお任せ』では、その後も長く続くブランドをつくり上げることはできません」 と河野社長。ブランドを運営していく組織全体が同じ方向を向く必要があり、経営者を中心に社員全員が意識を揃えることが重要だと強調する。
こうした中、フラクタが近年、ブランディング支援において最も力を入れ ているのが、ブランディングを担う組織(チーム)をつくること、そしてチームのメンバーを教育・育成することだ。
「自社内にブランディングを牽引する人材・組織を確保する必要性に気づいてはいるが、どうしていいかわからない……ということが多いものです」と河野氏。
ブランドとして目指すべき姿は、50年、100年、200年と長きにわたって顧客とつながり、愛され続けること。つまり、外部の力に頼らずにブランドを維持することが困難な状況では、ブランディングを成功させることはできないのだ。
ブランドの悩みを一つひとつ解決していく対症療法に終始せず、基盤となる組織を整備することが、いまやフラクタの最も重要なミッションとなっている。
編集協力:フラクタ