【前回】「ニューヨークに登場したグーグルのポップアップ・ストア現地レポート(前編)」はこちら
りばてぃ
Liberty & Friends, Inc.代表
ニューヨーク情報及び、海外情報に精通したマーケティング・コンサルタント。ブログ「ニューヨークの遊び方」を運営。企業向けのコンサルタント業務他、各種メディアへの執筆も多数あり。著書に、『ニューヨーク在住の日本人マーケティング・コンサルタントが語る「日本のビジネスに本当に必要なこと」』(2016年、幻冬舎)がある。
前回、Googleによるポップアップ・ストアについてのレポートをしたが、今度はFacebookの事例を紹介する。
世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)であるFacebookには、実店舗を持つ必要性がない。しかし、2016年のホリデーシーズン、ニューヨークのビジネス街に囲まれたブライアント・パーク内に、同社直営の期間限定の特設パビリオン、いわゆるポップアップ・ストアをオープンした。この公園は、タイムズ・スクエアとグランド・セントラル駅の中間地点に位置し、特に、ホリデーシーズン中はスケートリンクや出店が登場し、多くの人々で賑わう。
日本ではほとんど報じられていないようだが、ニューヨークでは、SNSであるFacebookが出店したポップアップ・ストアであることや、これまでのFacebookのサービスとは関係のないVR(仮想現実)技術を無料で体験できるということで話題になった。それでは、その店内の様子など簡単にご紹介しておこう。
まず、注目すべきは特設パビリオン。そもそも実店舗が不要なFacebookであるにも関わらず、もともと存在した店舗スペースを使わずに、わざわざこのためだけに公園内に店舗を仮設した。このFacebookのように、もともとインターネット上でのビジネスを提供してきたIT企業が新たな広告・ブランディング戦略の一環として、実際の店舗をオープンする戦略は、近年のアメリカでは主流になりつつある。
特設パビリオンの中に入ってみると、Facebook版のVR(仮想現実)技術を無料体験できる20台ほどのステーションが設置されていた。すぐ横には、VRスペシャリストが配置されており、来場者にはマンツーマンで使い方を説明。誰でも簡単に4分ほどのVR体験ができるようになっている。
会場では、Facebook版のオリジナルVR体験を提供。例えば、宇宙遊泳を楽しんだり、シルク・ド・ソレイユの舞台上に立ったり、どこかの国の原始的な暮らしをする民族の食卓に招かれるなど、比較的シンプルなVR体験になっていた。
特設パビリオン内は、ゆったりとしたスペースで全体的に穏やかな雰囲気。フレンドリーな女性スタッフが気さくに声をかけ、VR体験後の人々に、Facebookのブランドイメージに関する簡単なアンケートも実施。アンケートに協力すると、Facebookでお馴染みの「いいね!」マークのマグネットをお土産にもらうことができた。
Facebookは、2014年にVRヘッドセット・メーカーのOculusを20億ドルで買収しているが、今回は本格的なVR技術のデモンストレーションをしたかったのではなく、先進的な企業としてのFacebookのイメージ向上が狙いだったようだ。