顧客視点の取組みを企業が活用するには
今まで多くの人によって指摘されてきましたが、実際のところ、企業が顧客のための自己革新を行うのは意外と難しいのです。
その理由の一つとして、ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授は、著書『イノベーションのジレンマ』の中で、企業にとって過去の成功体験が自己変革の足かせになることを挙げています。
これは優良企業であればあるほど、今までの成功体験にとらわれてしまい、新しい一歩が踏み出せないということです。前述した携帯電話で言えば、技術力のある企業ほど自社の技術に自信があるため、技術力の一点突破で新しいイノベーションを起こせると思いがちだということでしょう。
ここでクリステンセンの指摘を企業のマーケティング、という概念に当てはめて考えると、次の仮説が生まれます。それは、今まで多くの日本企業が20世紀にマス・マーケティングを上手に使って売り上げを伸ばしてきましたが、ひょっとすると、そうした企業ほど今までの成功体験が自己変革を妨げているかもしれないという仮説です。
また、クリステンセンは、「『顧客の意見に耳を傾けよ』というスローガンがよく使われるが、このアドバイスはいつも正しいとはかぎらない」とも述べています。これは顧客の意見は貴重だが、そのまま受け入れるだけではいけないということでしょう。
では、どうしたらいいのでしょうか。
次ページ 「企業と顧客が「仲間」になって「一緒に」活動する時代へ」へ続く
藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)
藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)
博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。
藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)
博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。
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