子ども時代の原風景をプロダクトに
Pechatはぬいぐるみに付けるボタン型スピーカーで、スマートフォンの専用アプリを操作するとスピーカーから声が出る仕組みだ。子どもにとっては、まるでぬいぐるみがおしゃべりしているように感じるアイテムで、親子がぬいぐるみを通して心を通わせるという「新しい形のコミュニケーションの実現」を目的につくられている。
「子どもの頃、親がぬいぐるみを使って、ぐずる僕をあやしてくれたような原風景。それを現在の技術でアップデートしたプロダクトが、Pechatです」と、プロジェクトチーム発起人である博報堂 monom コピーライター/プロダクトデザイナー 小野直紀さんは話す。
モノ×テクノロジーで新たな生活文化と市場の創造を目指す社内チーム「monom」で、コンシューマー向けプロダクトの開発を進めていた小野さんは、2015年3月に米国オースティンで開催 された SXSW(South by Southwest)に参加した。
そこで、博報堂アイ・スタジオのクリエイティブディレクター 望月重太朗さんやアートディレクター 柳太漢さんと再会したことが、目標の実現に向けて大きな契機になった。
半歩先にある、手に入る未来をつくる
日本に帰国後、プロジェクトがスタート。メンバー全員でさまざまなアイデアを持ち寄った。その中の一つが、教育の延長上に出てきたのが、“親子で使える”という考え方だ。
「そこから子どもがいるメンバーや知人に質問を繰り返していき、“ぬいぐるみがおしゃべりする体験 ”に可能性を見出しました」(小野さん)。
その体験を実現するために小野さんが意識したのは親が気軽に買うことができる価格帯で提供すること。「コンセプトがどんなに良くても高額で、せっかく買ったのに子どもが遊ばなかったら意味がありません。もう一つは開発者視点ではなく、ユーザー視点での開発。そこで既にある技術を使い、その新しい使い方を提供するプロダクトにしようと話しました。未来をつくるのではなく、半歩先の手に入る未来をつくろうと」。
その結果、ブルートゥーススピーカーを応用するアイデアにたどり着いた。ボタン型は小野さんが最初に閃いたイメージが、そのまま生かされている。
「楽しむためのアイテムだから、機能的すぎてもいけません。ボタン型はスピーカーの穴を活かせるし、布や糸と親和性もあり、ぬいぐるみと馴染みます。色を黄色にしたのはユニセックスにしたかったことと、おしゃべりで温かいイメージがあるからです」。
月刊「ブレーン」4月号CAREER NAVIに、博報堂アイ・スタジオの求人が掲載されています。
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